So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

アミオダロンを救急外来で使っても良いのか?その2 [医学関連]

 昨日にひきづつきアンカロンのお話です。アンカロンはアミオダロンの商品名です。

 アンカロンは入院生存率を高めるエビデンスのある有用な薬です。が、退院生存率は高めません。救急外来に心肺停止で来院した場合、心拍が再開してICUなどに入る率が高まる薬です。逆に言えば、救急外来で死亡宣告と言うことが少なくなる薬です。しかし、元気に退院できる率が高まるかと言えば、そうではありません。しかし、救急外来で亡くなるより、入院中に亡くなる方がいい場合はあるのではないでしょうか?

 よって心室細動が継続していれば、アミオダロンを気軽に使うべきではないかと思いますが、そうでもありません。ガイドラインや添付文書には、血管収縮薬を使っても持続するような難治性心室細動や難治性無脈性心室頻拍の場合に使用するとなっています。血管収縮薬よりも不利益があるのでしょう。

 その不利益の一つは、半減期が長いことです。アミオダロンは半減期が非常に長く、静注の場合14.6日と添付文書に書かれています。薬が消えてなくなるには、半減期の約5倍かかると考えると、約2ヶ月かかります。たった一回使っただけでです。

 もし副作用が出現した場合、患者さんは長い期間副作用に苦しむことになります。その患者さんを担当する医師は、循環器内科の先生が多いでしょう。

 よって、アミオダロンを使う場合には、循環器の先生に相談する、あるいは常日頃からこの事について話し合っておくのが良いと思います。

 私が勤めている病院の循環器内科の先生は、救命が第一だから、必要なら使って良いと言ってくれますが、やはり私は循環器内科の先生に電話で相談してから使おうと思います。そう、私は自分の指示でアミオダロンを使ったことが一度もありません。

 もし、厳密にアルゴリズムに従って、きちんとアルゴリズム通りに蘇生が行えても、電気ショックを3回かけてからのアミオダロン投与になります。急変です!と言われてから約6分後です。初回の電気ショックが院内の目標3分と言われていますから、3分後に初回ショックをかけたとすると、7分後になります。
 当院では、心室細動の患者さんが来れば、循環器内科の先生がその頃には救急外来に来てくれています。時には、すでにもうカテ室に向かってしまっています。なのでアミオダロンを投与した方が良いか悩むことは少ないです(^^)。

 また、残念ですが、心室細動が7分以上継続することは、経験していません。蘇生の質が悪いのかも知れませんが、一生懸命蘇生をしているつもりです。

 よって、アミオダロンを救急外来で使う時には、循環器内科の先生に相談するのがベターだと思います。循環器内科の先生が常勤でおられない病院であれば、心拍再開後に発生すると思われる副作用はとりあえず置いておいて、アミオダロンが適応であれば使うべきだと思います。心拍再開したからこその副作用ですから。
nice!(0)  コメント(0) 

アミオダロンを救急外来で使っても良いのか? [CPRの基礎]

 以前の記事のアップデートです。かなり前の記事です。

 以前は、心肺停止時にボーラス投与が出来なかったのですが、2013年から出来るようになりました。アンカロンの添付文書によれば、使い方は以下の通りです。

<電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍による心停止>
 アミオダロン塩酸塩として300mg(6mL)又は5mg/kg(体重)を5%ブドウ糖液20mLに加え、静脈内へボーラス投与する。心室性不整脈が持続する場合には、150mg(3mL)又は2.5mg/kg(体重)を5%ブドウ糖液10mLに加え、追加投与することができる。

 「アミオダロンを単独で投与して、その後20mlの輸液で後押し」と言うAHAのアルゴリズムに示された方法は、厳密に言えば行えません。

 それから、昨日も書きましたが、2013年まではアミオダロンは毒薬に指定されていて、鍵のかかる場所に保管することが義務づけられていましたが、現在は劇薬に格下げ?されていて、その必要はありません。よって、救急外来などにも置いてある場合もあると思います。私が勤めている病院には置いてあります。

 よって、救急外来でアミオダロンを投与しても問題ありません。あくまで教科書的なお話ですが。

 裏話?は明日書きますのでお楽しみに!
nice!(3)  コメント(0) 

アミオダロンはその場にないことがありますので、使う時には準備をしましょう [CPRの基礎]

 救命処置講習会などに出席すると、「血管収縮薬を投与しても心室細動が続いていますので、アミオダロン300mgを投与します!」と言う台詞が聞かれます。講習会では、直ちに担当の人が「アミオダロン300mgですね。はい、投与しました!」と言ってくれます。

 しかし、その場にアミオダロンが用意されていることが、どのぐらいあるのでしょうか?

 こちらのアミオダロンの添付文書によれば、アミオダロンは劇薬に指定されています。2013年までは毒薬だったそうです。

 劇薬とは、こちらのサイトによれば、少量で致死的になりうる薬剤であり、毒薬の方が強力な薬と言うことのようです。よって、紛失したり盗難に遭ったりして、必要のない人に使われると大変なことになります。よって、こちらの文書によれば、劇薬は「他の医薬品等と区別して、貯蔵・陳列する必要があります。なお、劇薬は、毒薬のように、特に鍵のかかる場所に保管する必要はありません。」とあります。

 また、添付文書には、アミオダロンは「凍結を避け、25°C以下に遮光して保存」とも書かれています。夏の暑い時には、室温に保存は難しいですね。

 よって、アミオダロンは誰でも入れるようなナースステーションの直ぐ分かるところに置いておくわけにはいきません。病院によっては薬局にしかない場合もあるでしょう。そう言う場合には、早めに誰かにアミオダロンを取りに行ってもらうか、薬剤師さんに持ってきてもらう必要があります。

 どの病棟にも置いてあるよ!と言う場合、薬剤師さんが頻繁にチェックして紛失していないかどうかなど気をつけてくださっているのだと思います。慎重な病院管理者であれば、そんな劇薬を病棟に置いておくなんて!と言うかも知れませんので、そう言う管理者を薬局の偉い人が、現場で直ぐ使う可能性のある薬なので、なんとかお願いしますと頼んでくれているのかも知れません。

 アミオダロンが普通に使えること、多くの人に感謝しなければなりませんね。

 ちなみに、以上の理由により、蘇生講習会にアミオダロンの本物が出てくることはまれですね。

 知りませんでしたが、アドレナリンやキシロカイン、アトロピンも劇薬に指定されています。

nice!(4)  コメント(0) 

バイスタンダー効果 [CPRの基礎]

 突然ですが、キティ・ジェノベーズ事件という事件をご存じですか?多くの人が殺人の現場を目撃、あるいは悲鳴を聞いていたにもかかわらず、誰も助けに行かなかったと言う事件です。何て冷たいんだ!と言う事ではなく、傍観者効果(あるいはバイスタンダー効果)によるものです。犯人はこの事を知っていたというのですから驚きです。

 こちらに傍観者効果について書かれていますが、つまり自分が助けなきゃ誰が助ける?と言う状況であれば、ほとんどの人が自発的に助けるのですが、他に人がいれば俺は関係ない、、、、、、みたいになってしまうと言うことです。
 救急車のお断りも似ています。都会に多い傾向にありますが、都会は他に病院が幾つもあるので、うちが受けなくても別の病院が診るだろうから、今忙しい時に無理して救急車をさらに受ける必要はないだろうと思ってしまうのかも知れません。田舎だとうちが断ったらこの患者さんはどこで診てもらえるのか?と思うから頑張って救急車を受けるのではないでしょうか。

 つまり、誰か助けて!と言った対応では誰も助けてくれないと言うことです。

 よって、以下のようなことをつぶやいても効果はないと言うことです。

・来週の当直を代わってもらいたいんだけど、誰か当直代わってくれないかなあ?
・誰か今から薬局に行って薬をもらってきてくれないかなあ?
・誰か今日の夕方の会議代理で出てくれないかなあ?

 以下のように言いましょう。

・木村先生、いつもありがとうございます。来月のクリスマスイブの当直代わってもらえないかなあ?
・病棟一美人の白石麻衣さん、今から薬局に行って薬をもらってきて!
・病棟一の頑張り屋さんの渡辺麻友さん、今日の夕方の会議代理で出て欲しいの。あなたに期待しているから。

もし痴漢に襲われた時にはこう言いましょう。


nice!(3)  コメント(0) 

カテコラミンを何故ブドウ糖で溶かすのか? [研修医教育]

 最近ある方からメールが来ます。今お勤めの病院での色々なことが問題があると感じておられるようで、少しずつお返事しておりますが、それをついでに?こちらに載せておきます。他に役立つ人が一人でもいればと思いますし、折角書いたお返事なので、ブログに載せておくと自分にも役立つ(後で検索しやすいので)かなと思いました。

 また、このブログに書いてあったと言えば、結構な説得力がある可能性が少しあるので(^^)。近くの病院の看護師さんの勉強会の資料に使われたりしているようですから。

 今日はカテコラミンを何で薄めるか?と言うお話です。最近このテーマでブログを書いた気もするのですが、ブログは同じ事を何度でも書いて良いと誰かが言っていましたので、また書いてみます。大事なことは何度でも言えば良いとビリギャルの本に書いてありました。

 さて、皆さんの病院にあるドパミンのキットをご覧ください。カタボンとかプレドパとか、キャサリンとかです。キャサリンについては以前記事にしました(^^)。

 ほぼ間違いなくストレートでもウーロン茶割りでもなく、水割りになっているはずです。つまりブドウ糖で薄めてあります。生理食塩水で薄めてある製剤は見たことがありません。

 病院によっては、ドパミンのアンプルを点滴に入れて、何かで薄めて投与する場合があると思います。その時に生理食塩水ではダメなのですか?と聞かれたりします。

 先に結論から。

 カテコラミンを薄める時にはブドウ糖が良いです。
 でも、生理食塩水でも良いです。

 どっちか決めてや〜!と言う場合にはブドウ糖にしましょう。理由は以下に説明します。

理由を知りたい方はこちら。


nice!(4)  コメント(0) 

AEDを迷わず使いましょう [CPRの基礎]

 講習会を受講すると、色々なことを教えてもらいますが、大切なことは以下の言葉をしっかり考えることです。

 学習とは、行動が変わること。

 講習会を受講しても、昨日までの行動が変わらなければ、講習会で学んだことになりません。厳しい言葉でもありますが、教える側も、学ぶ側も良く考えるようにしたいです。

 さて、蘇生の講習会でAEDの使い方を学ぶ場合、色々なことを教えてもらいますが、はたしてそれは必要なのか?これを良く考えてみたいです。

 例えば、AHAの一般市民向けのコースでは、「AEDの使い方は、スイッチを入れて、指示に従ってください」と言うことしか教えていないようです。AEDを使う実技もないようです。それ以外のことは余計な知識だと言うことです。スイッチを入れて指示に従う、これだけで使えるように作られているのがAEDなのです。すばらしい発明です!!

 なのに、日本でのAEDの使用率は外国に比べて非常に低いです。こちらのサイトによれば、日本では心肺停止の人にAEDが使われたのは5%弱しかありません。ヨーロッパなどでは20%を超えているのにもかかわらずです。

 その原因の一つは、やり方がよく分からない、やり方を学んだけれど、怖くて使えないと言うことだと思います。

 やり方が分からないのは仕方ないです。多くの人にAEDの使い方を知って頂けるように講習を行っていくしかありません。が、AEDの使い方は簡単です。電源を入れて、AEDに言われたとおりにする。たったこれだけです。良かったら覚えておいてください。

 怖くて使えないという事ですが、これは講習のやり方に問題があると思っています。先ほども紹介しましたが、行動が変わらなければ学んだことになりません。AEDの使い方を覚えたけれど怖くて使えない、、、、、、、となったら、学んだ意味がありません。AEDはこんなに簡単なんだよ!!怖くないよ!と言う事を伝えなければならないと思います。
 しかし、どうしても日本人はまじめなので、こう言った場合にはどうするのか?こう言った場合にもし使ってしまったら不利益が起こるのではないか?と言う事に注意が行ってしまいます。

 でも大丈夫!AEDは大きな問題を起こすことはほとんどありません。あなたが心肺停止の人に遭遇する確率よりも低いでしょう。倒れている人を見つけたら、反応と呼吸を確認し、おかしいと思ったらAEDを使って構いません。脈があったらどうするんだ?等と言い出すと怖くて使えません。そばにいた人が、この人おかしい!と思えば、すぐにAEDを使って良いです。是非お願いします。

 また、119番通報しかしないと10%弱しか助かりませんが、心肺蘇生を行い、その上でAEDを使うと50%強の人が助かるそうです。是非、必要な人には使って頂けたら嬉しいです。

 こちらのサイトの言葉をかみしめていただけたらと思います。

 「あなたが行なう心肺蘇生は完璧ではないかもしれません。 しかし、それでも医療者が関わってから行われる治療よりも、効果が大きいのです。 勇気を持って一歩を踏み出すことで、救われる命が多くあります。」

 そうなんです。心肺蘇生の講習会で最も大事なことは、倒れた人を見つけたら行動を起こす勇気を持つことです。勇気は勉強しただけでは身につきません。みなさんの気持ち以外にありません。インストラクターはそれを手助けするだけです。

教育用語を少し知りたい方は以下を。


nice!(4)  コメント(2) 

濡れた床の上などで電気ショックをしても大丈夫です。 [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会でよく聞かれることの一つに、金属の床の上とか、氷の上、雪の上、濡れた床の上などで患者さんを蘇生している時に、AEDを使ったら感電しませんか?と言うのがあります。

 そう言う質問は出来るだけ出ないように、大切なことだけ伝えられるようにしなければならないのですが、質問が出る時は出ます。

 質問される方はまじめな方なのでしょうが、金属の床って最近見た記憶がありません。氷の上ってスケートでもやっているのでしょうか?それとも釣り?でも、裸足でやりませんよね。雪国の人なら雪は普通にあるでしょうが、やっぱり裸足で歩くのでしょうか(^^)。
 最も普通にあるとすれば、水泳をしている時でしょうね。でも、きっとそういう所には訓練を受けた人がいるでしょうから、安心ですね。

 結論から先に言います。普通にAEDを使っていれば、床がどんなところだろうと、全く問題ありません。ただ、患者さんの胸が濡れていると、患者さんの心臓に流れる電流が減る恐れがあるので、タオルなどで拭いておきましょう。

 さて、まず常識的なことです。電線に止まっている鳥は感電しませんよね。こちらのサイトなどに説明があります。よって、地面に電流が流れていたとしても、他のどこにも触れていなければ電流は流れません。ましてや履き物を履いていれば全く問題ありません。

 それから、こちらの文献をご覧ください。英語ですが、写真が載っていますので、どんな実験か、ある程度想像がつくと思います。

 コンクリートの床を、テープでいくつかの区域に区切って、海水やプールの水などで、コンクリートの床を塗らしておきます。
 真ん中の区域に七面鳥を置いて、その胸に電気ショックのパッドを貼ります。AEDを近くに置いて、七面鳥に電気ショックをかけた場合の、各区域の電圧を特定しています。
 七面鳥の近くの区域では、最大3ボルトの電圧がかかっていますが、実際は問題となるような電圧ではないし、人間の身体の抵抗値は、測定に使った電極よりも大きいので、気にしなくても良いでしょう。
 そして、再度考えてみたいですが、濡れた床や地面の上にいて、あなたは裸足で、倒れた人にAEDを使うというような状況はどのぐらいあるでしょうか?医療施設では患者さんをお風呂に入れることがあるでしょうが、長靴履いてませんか?感染防御のためにも裸足はいけないですよね。まさか院内を裸足で歩いてます?

 よって、電気ショックをかける場合には、床がどうかと言うことを気にする必要はありません。

 お気に入りの看護師さんの由香さんのことは気にする必要があるでしょうが、、、、、、、、たぶん。以下の動画にも由香さんが出ていますので探してみてください(^^)。


nice!(4)  コメント(4) 

緊急時に生理食塩水を数本入れてもアシドーシスにはなりません [医学関連]

 世の中には色々な迷信が存在します。こうすべきだと習ったので、と言う理由以外に理由が見つからない行動です。果たして、それが効果があるのか誰も調べていなかったり、、、、、、

 今回はその中の一つである。「生理食塩水を点滴すると高CL性アシドーシスになる」と言うことについて考えてみましょう。

 昔読んだ輸液の本で、著者のお二人が言っていました。二人とも生理食塩水を入れて酸性になると言う体験をしたことがないと。バケツにHCO3が24mEq/Lと言う液体を作ったとして、そこに液体を入れて半分の濃度にしたら、液体がただの水だろうと、乳酸リンゲルだろうと生理食塩水だろうとHCO3は12mEq/Lとなってアシドーシスになります。だから、生理食塩水を入れたから酸性になるのではないと。以下の本のP.41-45に書かれています。古い本ですが、基本は変わっていないと信じています。

41iUFGgLMtL._SX351_BO1,204,203,200_.jpg

 塩素がたくさん入ってもアシドーシスにならないとしても、じゃあ希釈性アシドーシスはどうなんだという意見があると思います。UpToDateを読んでみます。後で原文を紹介しますが、色々な緩衝作用により、希釈性アシドーシス単独で著明な代謝性アシドーシスにはならないと書かれています。

 また、こちらのスライドをご覧ください。糖尿病性ケトアシドーシスの時の輸液として、生理食塩水と乳酸リンゲル液を比較した研究を紹介しています。どちらも大きな差は認めず、生理食塩水の方が安いから生理食塩水にしましょうみたいな感じの論文を紹介しています。

 あれ?生理食塩水を入れるとアシドーシスになるという先生方、糖尿病性ケトアシドーシスの時には乳酸リンゲル液使っていますか?生理食塩水ではないですか?糖尿病性ケトアシドーシスの時には、アニオンギャップが増加しているので、塩素を入れない方が良いのではないですか?糖尿病性ケトアシドーシスには生理食塩水をお使いではないですか???

 何故普段は「生理食塩水を使うとアシドーシスになる」と言いながら、糖尿病性ケトアシドーシスの時には生理食塩水を使うのですか?

 教えてください。



希釈性アシドーシスは起こりにくいという根拠です。


nice!(3)  コメント(0) 

生理食塩水を入れても高ナトリウム血症にはなりません [研修医教育]

 患者さんの急変時の輸液として、「生理食塩水や乳酸リンゲル液を入れると、高ナトリウム血症になる」と言って、緊急時に使用することを良しとしない人がいるそうです。

 ビックリですが、その先生は、輸液についてご専門でないのでしょうから、知らないのは仕方がありません。きっと以前、その先生に、「生理食塩水は絶対ダメだ!」と教えた人がいるんでしょう。その先生がいけませんよね。

 理屈を説明して理解して戴くしかありませんので、ちょっと考えてみます。体重50kgの人に生理食塩水を1リットル入れるとします。こちらのブログにわかりやすく書かれていますが、Adrogue-madiasの補正式と言うのがあるようです。

 点滴後のナトリウム濃度は

 点滴後に細胞外液に含まれるナトリウム÷点滴後の細胞外液量

 です。本当は尿とか便とか不感蒸泄とかも考えなければならないでしょうが、取りあえず緊急時なので無視します。

 点滴後に細胞外液に含まれるナトリウムの量は、もともとあったナトリウム+点滴で入れたナトリウム量になりますので、以下のようになります。

 140×50×0.6+154

 ナトリウムの正常値は140mEq/L、体重50kgの人は水分が体重の60%程度であれば30L近くです。

 点滴後の水分の量は、体重×0.6+点滴の量なので

 50×0.6+1

です。計算すると、ナトリウム濃度は140.45となります。ほとんど変わりませんね。2L入れたとしても140.88です。

 ちなみに乳酸リンゲル液を1L入れると、139.68となります。2Lで139.375です。

 あくまで計算値です(人間の身体はもっと複雑です)が、どちらにしても、ほとんど気にする意義のない値です。ましてや緊急時の患者さんは、ナトリウムが140ではないかも知れません(高齢者はむしろナトリウム低めの人が多いでしょう)し、細胞外液量が足りない事がほとんどです。

 緊急時には細胞外液を用いましょう。生食は高CL性アシドーシスをきたすとか、乳酸リンゲル液は乳酸が高くなるとか、カリウムが入っているからとか、あまり気にする必要はありません。これらについては別に記事にしました。乳酸についてはこちらの記事をご覧ください。

 ちなみに、あくまで緊急時に限った話です。落ち着いた患者さんに生理食塩水や乳酸リンゲル液を点滴するのは、私はお勧めしません。私は維持輸液にこれらの点滴を使うことはありません。

生理食塩水と乳酸リンゲル液を交互に使っては??


nice!(4)  コメント(0) 

肺塞栓に気をつけましょう [研修医教育]

 救急の分野で是非読むべき本は?と聞かれたら、私はこの本を必ず挙げます。皆さん是非お読みください。


ER・救急のトラブルファイル―診察室のリスクマネージメント

ER・救急のトラブルファイル―診察室のリスクマネージメント

  • 作者: 太田 凡
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: 単行本



 これだけで終わってはいけないので、少し書いてみます。この本は、ERで実際にあったと思われる失敗例を紹介しています。最初の章は患者さんとの対応の問題、第二章は肺塞栓、第三章は医師間のコミュニケーションの問題という内容です(以降心血管系、頭部外傷、、、、、、、と第14章まであります)。

 前書きに書いてあります(私は前書きを読むのが好きです。前書きを読んで、その内容によって、その後を読むかどうか決めます)。この本の症例は、全てカンファレンスで取り上げた物で、カンファレンスで取り上げる場合、必ず担当医には今度のカンファレンスで先生の担当した症例を取り上げますと伝えてあるので、今回の症例について何も言われていないと言うことは、自分の担当した患者さんではないと言うことなのですが、カンファレンスが終わると多くの医師が、その患者の詳細について確認に来るのだそうです。つまり、それは俺の患者じゃないのか?と言うのです。それぐらい皆同じような失敗をしているのだと言うことです。

 そして興味深いのは、第二章は肺塞栓だと言うことです。それだけ肺塞栓は失敗が多いのでしょう。

 さて、今から患者さんの診察をお願いします。50歳の女性が呼吸困難で来院されました。意識清明で、呼吸数が35/分以外にバイタルサインに異常を認めません。SpO2は97%でした。
 ルームエアーでの血液ガスデータを示します。

pH 7.451
PCO2 20.7 mmHg
PO2 103.2 mmHg

 この患者さんを過換気症候群だと診断して、家に帰してしまう方はいないでしょう。何しろ今肺塞栓の事を書いていたのですから。しかし、いきなりこう言った患者さんを診察したら、肺塞栓を疑えますか?肺塞栓だったらSpO2はもっと低いはずだと思っていませんか???

 A-aDO2を計算すると21で、まあ高くないと言えば高くないし、年齢×0.3以下が正常だと言う基準を使えば高いですし、、、、、、、担当された先生は、すぐに肺塞栓を疑って造影CTを撮像したところ、両肺動脈に塞栓を認めました。

 過換気症候群の患者さんのSpO2は99%以上だと思います。それ以外は肺塞栓を否定できません。肺塞栓は怖い病気ですから、やはり救急外来ではA-aDO2を計算するために血液ガス分析を行ったり、造影CTを行ったりする必要があるかも知れません。

 また、この値を見たら、やはり酸素投与をした方が良いでしょうね。SpO2が97%もあるのに酸素がいるの??と言う意見もありかも知れませんが、この患者さんは、肺塞栓によって低酸素になったので、頑張って過換気をしてPCO2をなんとか下げてPO2を挙げているわけですから、今のままの頑張りを強制するのは良くないと思います。酸素投与をして直ちにヘパリンを投与するべきですね!

ちなみに、、、、、、


nice!(4)  コメント(0) 
前の10件 | -