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第六感を大切にしましょう [研修医教育]

 先日兵庫医科大学で行われた救急専門医セミナーに参加させていただきました。

 そこで学んだことを書いてみます。今回は「Gut feeling」です。日本語だと第六感みたいなものです。

 誰でも何かヤバい、何かおかしいと感じることがありますよね。医療に限らず、車の調子とか、奥さんの機嫌とか(^^)。それが以外に当たっているということです。

 岩田健太郎先生のブログにその論文の事が書かれていました。陽性尤度比は22.8だったそうです。

 小児患者さんを診察して、どうも感染症らしいけど、検査は全部異常なし。でも、この子なんとなく元気ない様に見えるし、お母さんもいつもより元気がないと言ったとします。これは検査が異常がないから帰して良いとしてはいけません。

 例えば重症な病気の可能性が50%だったとします。事前オッズは1です。オッズは有り得る確率÷あり得ない確率なので、50%の時は1です。

 なんとなく元気ないと感じたら、陽性尤度比が22.8なので、事後オッズは22.8です。

 これを確率に治すと、22.8÷23.8=95.8となります。

 ほぼ間違いなく重症な患者さんです。そのまま帰してはいけませんね。
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血糖をどのスピッツで測定するか? [研修医教育]

 救急外来では、ほぼ全員と言って良いぐらい患者さんに対して採血が行われます。やはり重大な病気を見逃してはいけませんので(採血したから見逃さないという保障はないのですが)。

 救急外来でのフルセット採血は、血算(以前はCBCと言っていたのですが、群馬では通じません)、生化学、凝固、BNP(B7と言うスピッツで採血します)の4本です。「4本採血してください」などと看護師さんにお願いします。

 これに血糖を追加して、「5本で」という人がいます。研修医の先生は、指導医が誰かによって採血を4本か5本か変えなければいけないので大変です。お疲れ様です。

 さて、血糖は本当に血糖専用のスピッツで採血しなければいけないのか?と言うのが今日のテーマです。

 結論から先に言えば、血糖のスピッツは救急外来には不要です。色々なご意見があると思いますが、私の意見を書きます。

意見を聞きたい方はこちら。


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内痔核は触れません [研修医教育]

 私が以前聞いた話です。

 軽度の貧血があり、便に血が混じると言う患者さんが来られました。内科を受診され、直腸診までされていますが、カルテには「内痔核を触れる」と書かれていたのみです。鉄剤が処方され、経過観察となったようですが、半年後に直腸癌と診断され、手術を受けました。その半年後に肝転移が発見され、、、、、、みたいな経過になったようです。

 この患者さんで改善した方がよかったことは二つです。
・貧血は精密検査をすべきです。
・内痔核は触れません。

・貧血は精密検査をすべきです。
 貧血は色々な原因で起こります。鉄欠乏性貧血が一番多いのでしょうが、例外を重視するのが医療の原則だと思います。鉄欠乏性貧血であれば鉄剤を処方し、原因を突き止める必要があります。特に癌じゃないか調べるべきだと私は思います。私が普通の外来をしていた時は、若い女性であっても胃カメラ、大腸カメラ、婦人科受診をお勧めしていました。胃がんは特に若くてもありますからね。堀江しのぶさんは23歳で亡くなっています
 これをしていれば、内痔核を触れると思っていても、内視鏡で直腸癌が見つかって、早期で(この時点で進行癌だったのかも知れませんが)治療できたかも知れません。

・内痔核は触れません。
 内痔核は静脈瘤です。直腸診を素手で行う人はいないでしょうし、肛門はしまっていますので、血栓ができているとか、何かなければ何も触れません。よって、直腸診をして何か触れれば、外科医に相談すべきだと思います。便だと思っても癌だったという事もあるので、何か触れれば必ず大腸カメラを勧めています。
 よく分からないことは専門医に相談するべきです。直腸診をして何かが触れたら、あるいは何も触れなくても、直腸診を自分がしようと思うような病態であれば、外科医に相談しましょう。

お前の意見なんていらないという方へ


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外傷はない? [研修医教育]

 外傷 traumaと創 woundの違いについて学びましょう。

 「交通事故で全身打撲の患者さんです。歩行は可能だそうです。外傷はありません。」と言う連絡が、救急隊からあったとします。この文章で間違いはどれでしょう?と言われたら答えられますか?答えられたら、この記事は読まなくて良いです。

 答えは「外傷はない」→「創はない」です。

 たぶん法医学では、この表現は正しいのでしょうが、外傷 traumaと言う言葉は、患者さんの反応の有無は問いません。打撲も外傷です。お湯がかかれば、それだけで熱傷です。創は、皆さんが思う傷になります。皮膚の連続性が絶たれた状態とでも言うのでしょうか。

 個人的には、患者さんに創があるかどうかというのは、そんな大きな情報ではないと思うのですが、必ず外傷はありませんと報告があります。厳密に言ったのであれば、交通事故で車がぐちゃぐちゃになったのに、スタントマンか何かで、どこも打っていないと言う事になります。が、きっと創がないという事なんだろうなと分かるから良いんですがね。

 何故そう言う考えをするかというと、熱傷は数日経ってから水疱になったりすることがありますし、皮膚に異常がなくても内臓に損傷がある場合もあります。体表面だけを見て異常があるなしと判断してはいけないのです。「外傷がない」と言う風に言う事で軽症なんじゃないかと感じてしまうのがいけないのです。

 高エネルギー外傷という言葉があります。外傷を診た場合、創の派手さに目を奪われてはいけません。この人にどのぐらいのエネルギーが加わったのかを考え、相当なエネルギーであると考えれば患者さんがピンピンしていても重症だと考えるということです。外傷ではそう言う考え方をしましょう。

 正確な用語かどうかは分かりませんが、精神的なトラウマというのも、トラウマという言葉からしたら間違っていないと感じます。

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薬の名前の由来を調べてみませんか? [医学関連]

 薬の名前ってどうやってつけているんでしょうね。会議して、偉い人たちがアイディアを出し合って、、、、、、小林製薬の薬ならそのものやん!って感じの名前ですが、医薬品の名前ってどういう意味なのか知りたくなる時ありませんか???

 それは簡単に分かりますので教えちゃいます(と言うほどの事じゃありませんが)。

 Google先生に「○○(薬の名前) インタビューフォーム」と聞けば良いのです。インタビューフォームとは、日本で発売されている医薬品は必ず作られている文書です。こちらのサイトからも調べられます。
 ほとんどがネットで公開されています。その中の最初の方の名称という所を見れば良いのです。最初の方に「名称に関する項目」というのがあり、そこに名前の由来というのがあります。

 ラシックスは6時間効果があると言うことで、Last sixから来たというのは有名ですが、インタビューフォームには載っていませんでした。ボルタレンもキシロカインも不明とあります。なんだ。

 それでは、いくつか紹介してみましょう。面白いのから、あまり面白くない物まであります。

見てみたい方はこちらをご覧ください。


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脱水という言葉に注意しましょう [研修医教育]

 脱水とは何か?と言われたら答えられますか?下痢がひどい人が来られて、血圧が80/60mmHg、脈拍数が125/分だったら、「これは脱水だね!輸液をしよう!」と言っていませんか?実はこれは正しくありません。

 えー!そうなの?と言う方は以下をお読みください。知ってるよ、そんなこと常識じゃん!!と言う人は、ここまでお付き合い頂きありがとうございます。脱水を間違えている人は多いんだと言うことを再認識して頂けたと思います。

 先ほどの血圧が低くて脈が早い人は、volume depletionです。日本語だと循環血液量減少です。ナトリウムと水が欠乏している状態です。UpToDate "General principles of disorders of water balance (hyponatremia and hypernatremia) and sodium balance (hypovolemia and edema)"によれば、以下の通りです。日本語だと「水分(低ナトリウム血症と高ナトリウム血症)、塩分(循環血液量減少と浮腫)バランスの異常の一般原則」

 Hypovolemia refers to any condition in which the ECF volume is reduced and, when severe, can lead to hypotension or shock. Hypovolemia is usually induced by salt and water losses that are not replaced (eg, vomiting, diarrhea, diuretic therapy, bleeding, or third-space sequestration). By contrast, unreplaced primary water loss, due to insensible loss by evaporation from the skin and respiratory tract or to increased urinary water loss due to diabetes insipidus, does not usually lead to hypovolemia, because water is lost disproportionately from the intracellular fluid compartment which contains approximately two-thirds of the total body water.

日本語が読みたい方はこちらを。


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頭部外傷にMRIは有用か? [医学関連]

 最近は患者さんも色々勉強されているようで、色々な検査を希望されます。頭を打った場合、心配なのでしょうが、MRIも撮ってくださいと言われることが増えてきました。

 私はCTしか撮っていませんでしたが、今回は頭部MRIは頭部外傷の時に有用か?と言う事について書いてみたいと思います。

 まず私の経験から。私が一つ前に勤めていた病院では、MRI firstでした。脳梗塞や脳出血はもちろん、外傷も全てまずMRIを撮っていました。脳外科の先生にコンサルトして必要な場合にのみCTをその後撮っていました。つまり、MRIを最初に撮るならば、CTよりも有用な可能性はあると言うことです。

 ある先生の意見です。こちらのリンクにあります。あまりに明解ですごく嬉しいです!

「頭部外傷の画像診断の最初の目的は脳神経外科的に処置の必要かつ可能な病変を検出することにあり、このような病変がCTで検出できなくてMRIだから検出できるということはない。頭部外傷にはまずCTである。検査時間はたったの5分である。

MRIにはどんな欠点があるのでしょう?


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貧血=鉄剤投与はやめましょう。 [研修医教育]

 私が受け持った患者さんで、初めて亡くなった患者さんは赤芽球癆という病気の患者さんでした。

 この病気は、赤血球だけが上手く作られなくて、貧血(ふらっとすることではなく、血液が薄いことです)になってしまう病気です。貧血に対して輸血が行われるのですが、輸血された血液は、そんなに長く体の中で生きていないので、頻繁に輸血されていました。血液中には鉄がたくさん含まれています。赤血球が壊れると同時に、鉄も体の外に出ればいいのですが、そうはいかず、鉄が体の中にどんどんたまっていきます。そのため、ヘモクロマトーシスという体に鉄が過剰にたまってしまったために起こる病気になってしまいました。私が担当させて頂いたのはこの頃です。

 デスフェラールという薬を注射して、鉄分を外に出します。鉄とくっついておしっこから外に出る薬です。今は飲み薬もあるのですが、私が研修医の頃は注射薬しかなく、患者さんに筋肉注射を毎日するのが大変でした(看護師さんが(^^))。

 この患者さんはいつもオシャレなパジャマを着ていました。カラオケで「もう恋なんてしない」を歌うと、この患者さんと似たパジャマを着た人が映像に出てきて、この曲を歌ったり、他の方が歌われると、いつも患者さんのことを思い出します。

 私はこの人に教わったために、鉄の過剰に非常に敏感です。貧血だと言うだけで鉄剤を投与する医師がたまにいますが、私はどうしても出来ません。鉄欠乏性貧血かどうか、フェリチンの結果が出るまで内服をするというのであれば構わないと思いますが、フェリチンを測定せず、実は鉄欠乏性貧血ではないのに鉄剤をずっと投与されている患者さんを診るととても残念に思います。国家試験に小球性貧血の原因として慢性消耗性疾患に伴う貧血というのが出てくるのに、忘れてしまうのでしょうか?

 鉄の過剰は作ってはいけません。Sさん、私はあなたのことを忘れず、あなたのように苦しんで死ぬ人を出さないようにしていますよ!!私が死んだら、天国で一緒に「もう恋なんてしない」を歌いましょう!!



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気管挿管の確認には波形表示呼気二酸化炭素モニターを使いましょう [CPRの基礎]

 気管挿管は研修医になって一番やりたい、やれるようになりたい手技の一つではないでしょうか。気管にチューブを入れるだけ、ただそれだけのことであり、それをしたからと言って患者さんが激しく助かるというエビデンスはないようです。が、やはり救急外来でも頻繁に行われる処置であり、医者になって26年目になろうとしている私でも、上手く入れば、やったぜ!と思います(^^)。

 気管挿管は、気管に管を入れるだけなのですが、なかなか難しく、気管ではなく食道に入ってしまうことも多いです。これは致死的になり得ますので、ちゃんと気管に入っていることを素早く確認する必要がありますが、なかなか良い方法がありません。レントゲンが一番確実ですが、レントゲンは意外に時間がかかります。放射線技師さんが挿管する場面に同席して、ポータブルの撮影の器械がそばにあればレントゲンを撮るのがいいかも知れませんが、そんな事はまずありません。

 胸の挙がり、聴診等の身体的所見はもちろん行うのですが、これだけでは2割ぐらいは間違えるそうです。食道挿管でも音は聞こえますし、胸が挙がっていなくても、ちゃんと挿管されている場合もあるでしょう。

 その為に、以前は二次確認と言って、器具を使っていました。現在は二次確認という言い方はなくなって、必ず器具も使うべきだという事になっています。

 器具としては、食道挿管検知器、CO2モニター、超音波検査などがあります。どれが良いか分からないので、色々な器具がある訳ですが、今のガイドラインでは、波形表示式の二酸化炭素のモニターが推奨されています。

 日本版の蘇生ガイドライン2015のP.24には、「CPR中の気管チューブの位置確認や連続モニターには、身体所見に加えて、波形表示のある呼気CO2モニターを用いることを推奨する(強い推奨、低いエビデンス)」とあります。

 コーラやビールを飲んでから心肺停止になったら、食道挿管しても二酸化炭素が出てくるので、偽陽性となるのではないかと思いますが、そんなやつおらんやろ〜と言う感じなのでしょうか。

 当院の救急外来でも波形表示呼気二酸化炭素モニターはもちろん使っています。患者さんの安全のために日々努力しています。

ERCのガイドラインを見てみましょう。


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研修医が担当したからこそ救う命があります [研修医教育]

 私が医師になって初めて受け持たせていただいた患者さんの話です。

 その方は直腸癌が後で見つかって、肝転移して、私が医師になって3年目で亡くなりました。私が直腸診さえしていれば、もっとがんこな医者だったら、、、、、、、と言うタラレバ話です。他山の石としていただければ幸いです。

 私が研修医の頃は、4月の第一土日に医師国家試験(プロ野球の開幕と同じでした)があり、5月に発表、6月から研修開始でした。私はローテーション研修がしたくて、研修病院を選びました。同期はおらず、私一人の研修でしたので、まず基礎は内科からと思い、内科研修6ヶ月から始まりました。

 1992年6月1日、初出勤して血液ガスを6人採血させていただいたのですが、全て失敗して落ち込んでいたところに、尿路感染症の70歳ぐらいの女性が入院してきました。私が担当するようにと言われ、初めての受持患者さんですから、結構たくさんお話を聞かせていただきました。抗生物質は何を選ぶのか、他にどんな検査をするのか、何に気をつけて患者さんを診ていけば良いのか?今のように良い本やインターネットがなかったので、色々試行錯誤でした。

 アメリカでは、どんな病気で入院しても、頭から足の先まで全身の診察をしっかりするのが研修医の仕事(直腸診も含めて)と聞いていましたので、私も真似しようと思っていましたが、女性ですし、尿路感染症だから、まあ良いかと言う事で直腸診はしなかったのです。便潜血も陰性でしたし、患者さんも訴えはなかった(本当は症状があったのかも知れませんが)ですので、仕方がないのですが、その患者さんは半年後に直腸癌が見つかり、外科で手術をしたのですが、私が1年後に外科を研修している時に多発肝転移で入院してこられました。

 私が直腸診をしていたら見つかったかどうかは分かりませんが、今でも直腸診さえしていれば、、、、、、、と思います。指導医の先生に、私は何でも勉強したいので直腸診を教えてください!と言えば良かった、、、、、、、

逆によかったこともあります。


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