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名医の手術の助手をしました [医学関連]

 外科手術は現在、出来る事なら小さく、、、というのが普通です。少し前までは、癌であれば、再発したら困るから、疑わしい所は全部切除すると言う考えでした。例えば乳癌ならば、乳房はもちろん、大胸筋(胸の膨らみを作る筋肉です。鍛え抜かれた男性の胸の膨らみはこれです。私にはありませんが(^.^))まで切除していました。術後の患者さんは、胸がないだけでなく、筋肉がなくて骨の形が丸見えでした。術後の患者さんの生活はそれで良いはずがありません。しかし、癌が再発したら困るでしょ、、という事だったのです。

 しかし、現在はあまりにそれでは患者さんがかわいそうだと言う考えと、色々な条件を満たせば、例えば乳癌の場合ならば、乳房を残しても大丈夫だと言う事が分かってきたので、出来るだけ小さく切除するという考えになっています。

 その考えに最も合致するのが腹腔鏡手術です。小さな道具を入れて、お腹の中をテレビ画面に映し、それを見ながら手術をするのです。傷が小さいので、患者さんの回復が早いです。1990年頃から日本でも始まっており、胆嚢の摘出術に関しては標準手術となっています。その他の手術でも、この手術がありますという話をしないと訴えられると言うような時代になっています。

 しかし、腹腔鏡手術は技術としては難しい方に入ります。私もやった事のない手術がたくさんあります。先日、その手術を当院で行いました。普通にやっても10時間近くかかる手術です。日本でも5本の指に入ると言う先生が、当院へ来て下さり、その手術をして下さいました。私は主治医だったので、助手に入らせて頂きました。10時間以上かかりました。ずっと立ちっぱなしだったので腰が痛かったです。トイレとか、食事とかどうするんですかと良く聞かれますが、私の場合、どっちも大丈夫です(もちろん手術後に、医局にあるお茶やらジュースやら、お菓子やら、、一杯食べますが)。

 名医と言われる人だけあって、技術も素晴らしかったですし、途中でお話して下さったことも素晴らしかったですが、一番感動したのはその人の性格と、指導方法でした。外に行ったら、まあいつもより温厚になるでしょうが、その先生は常にニコニコしていて、下手くそな助手2人(通常手術は執刀医一人、助手二人で行います。昔の飛行機みたいに、副操縦士と航空機関士とがいるみたいな感じです。たぶん外科手術は人員削減のためとかいって、二人でやるなんてことはないでしょうね、、、、)に対して、適切な指導をし、出来ると素晴らしい!ありがとう!などと言ってくれました。

 一番すごかったのは、カメラ持ちの若い先生に対して、「これは難しいんだよ、気がつかなくて悪かった。時々何やってんだ!って怒る人がいるんだけど、誰がやっても無理なんだよね、、、」と言っていた事でした。う〜ん、なかなか出来ないですよね。

 ちなみに、カメラ持ちと言うのは、特殊なビデオカメラを操作する人の事です。カメラの見ている方向と、自分の見ている方向が同じであれば、テレビ画面を見ながら行うのは簡単です(難しい事もありますが)。術者の隣にカメラ持ちが立って、いる時は簡単です。しかし、場合により、術者の(患者さんを中心に)反対側にカメラ持ちがいると操作が難しいです。テレビ画面に向かって、テレビの横から自分を写し、テレビ画面を見ながら操作をしてみて下さい。非常に難しいです(^.^)。そう言う場合には、カメラを上下逆にすると良いんだそうです(テレビの写りを逆にしても良いのですが、それが出来るテレビは、、、、ほぼ皆無です)。

 私は何度も褒められたので、もしかしたら、俺って手術が上手いのかも?な〜んて思ってしまいました。

 この先生のような名医になれるよう、これからも色々と努力しないといけませんね。


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コメント 6

あいこ

すばらしい先生の下で、すばらしいものを見て、KIMさまも、すばらしい先生になれるんですねえええ。
良い人には良い人が一杯回りを取り巻いてくれているように思うんです。すばらしい医者になってください!!
by あいこ (2007-08-25 18:30) 

akichon

名医の言葉で、「手術中は助手や看護師を叱っても怒るな」ありますね。
私も腹腔鏡の手術しますが忍耐と的確なカンシ操作と視野の展開がポイントですね。

名人は一般に厳しいけど優しいヒトですね。
by akichon (2007-08-26 02:57) 

Kim

nori_coさん、いつもnice!ありがとうございます。
とても励みになります。
by Kim (2007-08-26 11:14) 

Kim

あいこさん、コメント&nice!ありがとうございます。
良い人の回りには良い人が、、、という風になるよう頑張ります。
by Kim (2007-08-26 11:15) 

Kim

akichonさん、コメント&nice!ありがとうございます。
しかると怒るは違う、、、難しいですね。確かに、腹腔鏡手術は忍耐との闘いですね。
by Kim (2007-08-26 11:16) 

地方の外科医

だいたいどこの世界も、卓越した技術を持つ人はとても頑固者で、人付き合いを嫌う、といったイメージがありますが、こと医療に関しては、相手が人間であり、サービス業なので、そうもいってられませんよね。(^_^;)

とても偉い先生はだいたい怖い(?)のですが、しかしその先生はすばらしい方ですね。とくに手術中は、やはり、怒鳴られるよりも、にこにこ指導してもらった方が、私は断然やりやすいです。経験上、怒鳴られると、もうそれ以上手が動きませんでした。(^_^)
昔の軍隊みたいに、怒鳴って殴って・・・、という指導方法はそれはそれで良いのかもしれませんが、時代は変わってきてますからね。
by 地方の外科医 (2007-08-26 12:35) 

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