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low T3 syndromeは難しいです [医学関連]

 甲状腺について勉強しない人は向上せんと言われています(本当かな)。

 甲状腺の病気になると精神症状が出たり、食欲がなくなったり、脈が速くなったり、色々なので、何かあったら甲状腺疾患ではないかと疑うセンスが医師には必要なので、最初の言葉があります(クラス未確定)。

 甲状腺ホルモンは、脳からTRH(TRFとは違います。甲状腺刺激ホルモン放出刺激因子)が出て、脳下垂体と言う所からTSH(甲状腺刺激ホルモン)が出て、甲状腺からT4が出て、体の細胞でT3が作られます。

 TRHはT4やT3の濃度により放出がコントロールされています(こちらを参照)。

 例えれば、社長の命令がTRHで、各部署の部長命令がTSHで、商品がT4(箱入りの商品)であり、T3が本当の商品と言う感じでしょうか。

 TSHが高くてT4が低ければ、T4が出されていないのでTSHが沢山出ている(商品が沢山つくられないので作れと上司が怒っている訳です)と言う事で、上司の機嫌を和らげるためには、他の会社から商品を借りてくれば良いです。医療の現場では甲状腺ホルモンの薬(例えばチラージン)があります。

 ところが、TSHは上昇しておらず、T3だけが低下している状態があります。全身状態が悪くて甲状腺ホルモンも出ていない状態です。経済が停滞しており、ものが売れない状態と同じです。商品が出荷されていないのですが、上司も仕方ないと思い、増産の指示を出さないのです。

 こう言った時に商品を投入してもあまり意味がありません。不良在庫を抱えるだけです。同じように甲状腺ホルモンを投与しても意味がないか、悪影響が出ます。

 先日ある患者さんで研修医の先生が甲状腺ホルモンを測定していました。すごいセンスです!!しかし、TSHが7程度でT4が正常、T3のみ低下していました。私は不勉強であり、甲状腺機能低下症と思い、薬を投与すべきとお話しました。教科書的には典型的なlow T3 syndromeだったのですが、TSHは上昇しないと思っていたのです(+_+)。

 しかし、優秀な研修医の先生は、これはLow T3 syndromeであると言うのです、、、、、、

 知りませんでした、、、、、TSHが10を超えていないと、あまり機能低下症の治療をしても意味がないんだそうです。

 甲状腺専門病院でTSHが正常だった1225人中、甲状腺疾患があったのはたったの一人だったそうです。感度が非常に高いと言う事になるでしょうね。よって、TSHを測定して異常がなければ甲状腺疾患がないと考えてもまず間違いないです。潜在性甲状腺機能低下症と言うのもあるようです。

 会社の業績を見る時にも、中間管理職の働きを見たらよく分かるかも知れませんね。中間管理職が新聞読んでいる会社は業績が良いかも〜。

 研修医の先生から教わる事もたくさんあります。あまり偉そうな事ばかり言わないように注意しないと。

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yangt3

甲状腺の病気は難しいですね.
ところで甲状腺の手術の進歩もすごいですね.
傷を小さく内視鏡手術も行われていると聞きました.
ぜひ次はこちらの話題も!
by yangt3 (2010-07-04 10:17) 

Kim

yangt3さん、コメント&ありがとうございます。

是非手術の話書いてみたいですが、最近やっていないので、、、

今伊丹でiPadです。あまり視線を感じませんね。

by Kim (2010-07-04 19:05) 

コンメル

また一つ、勉強になりました。
ありがとうございます。

by コンメル (2010-07-05 00:03) 

Kim

コンメルさん、コメントありがとうございます。

参考になり嬉しく思います。これからも医学関連たくさん書いて行きたいと思います。

by Kim (2010-07-05 06:37) 

通りがかり

一般内科医です。
うつ病様症状の人に検査をしたところ
TSHが7程度でFreeT4とT3がごく軽度低下の人がいました。
抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体を測定したら高度高値。
このような人がいたという情報です。
by 通りがかり (2010-08-06 19:22) 

Kim

通りがかりさん、コメントありがとうございます。

もちろん、TSHだけ測る事はしないので、色々例外はあるのでしょうね。常に勉強が必要ですね。ありがとうございます。

by Kim (2010-08-07 00:30) 

☆

初めてコメントさせていただきます。
☆と申します。
>TSHが10を超えないとあまり機能低下症の治療をしても意味がないんだそうです

この言葉に疑問があります。

私の初診時の
TSHは3.72でしたが、チラーヂンSを服用したところ少なからずの症状が改善されました。

医師の立場からと患者の立場では違うと思いますが、甲状腺とは無関係だと思っていた諸症状が改善されたことを考えると

この言葉は納得できません。
by ☆ (2012-07-11 15:32) 

Kim

☆さん、コメントありがとうございます。

最初にこのブログで書いている話は一般論です。医療はその一般論を実行する場です。異なることもあって良いです。今はエビデンスと言って、研究で得られた結果に基づいて医療を行うべきとされていますが、それでも、その研究結果を必ず守らなければならないとは言われていません。医者でも勘違いして、エビデンスのないことはやってはいけない!と言う人がいますが、そうではありません。よって、☆さんが、甲状腺ホルモンを処方されたことは、☆さんと主治医の先生のお考えで、問題ありません。ただ、TSHが10以上でない場合には効果がない人が多いという事実は知っている必要があります。知っているけれどもやるというのは問題ありません。

そして、☆さんの言われることは個人の体験であり、それが全ての人に当てはまるかどうかは分かりません。私がTSHが3.72だったから、他の人も3以上あれば甲状腺ホルモンを飲んだら良いんだよ!となるかどうかは分かりません。

また、申し訳ないのですが、薬にはプラセボ効果というのがあって、全く効果のない薬を飲んでも効くことがあります。そうだったかも知れませんし、チラージンが有効だったのかも知れません。それは誰にも分かりません。☆さんが調子が良いのであれば、今後もチラージンを続けられるのが良いと思いますが。

以下にもTSHが10以上とあります。
http://oh-kinmui.jp/angle/rinshou/73.html

by Kim (2012-07-11 16:59) 

Kim

こちらの文献にも、色々な意見があってTSHが10以下でも治療すべきと言う文献もあるが、意味がないという文献もあると書かれています。

結局主治医と患者さんで話し合って決めると言うことになりますね。

http://rockymuku.sakura.ne.jp/naibunnpitunaika/subclinical%20hypothyroidism.pdf
by Kim (2012-07-11 17:05) 

☆

丁寧なお返事をありがとうございました。

もう一つ疑問に感じていることがあるので質問させていただきます。

一日チラーヂンS25一回から服用を始めて現在では一日の服用量を75に増量されました。

チラーヂンSの服用量とほぼ比例してFT4の数値は上がり、TSHの数値は反比例していますが、

FT3だけはチラーヂンS服用前の数値よりも低くなることが多く時には基準値以下になったこともあります。

チラーヂンSはT4のホルモン剤だからT4が上がりTSHが下がるのは理解できますが、T4から作られているT3の数値が下がっていることに疑問を持っています。

こちらの記事に書かれているLow T3 syndromeのT3の数値はどのくらいのことをいうのでしょうか?


by ☆ (2012-07-13 17:16) 

Kim

☆さん、コメントありがとうございます。

Low T3症候群の値は普通に低いという意味です。この病気は甲状腺は関係ないです。全身状態が悪いので、元気を出す必要がないから(景気が悪くて商品が売れないだろうから)T3を作る量を減らしている状態です。よってT3を増やしても意味がありません。

そう言う病態であれば、全身状態が低下している原因を治療しなければなりません。

そう言う状態でないのでしょうから、症状が良くなっていて、TSHが下がっていれば、問題ないと思います。人間は機械とは違いますので、全てが予想どうりに行くことはほとんどありません。

気になるかも知れませんが、極論を言えば、T3の検査は今後しない(調子が良ければですが)というのも一つの手かも知れません。

by Kim (2012-07-13 18:17) 

Kim

杉村みき様からのコメントです。メールアドレスが表示されていましたのでコピーさせていただき、コメントは削除しました。

軽症の橋本病の患者です。
TSH2.5~4.6ぐらいです。
約20年間、重傷な冷え性、疲れ、眠気、むくみ、腕の痺れ、精神疾患、胃腸疾患、心臓の息苦しさ、生理不順や生理が止まる等さまざまな症状に悩まされました。仕事や家事、生活に大変支障ができできなくなり、専業主婦です。
大学病院、総合病院、開業医の内科の先生に7回甲状腺の検査をしていただきましたが、軽症だったためスルーされて大変つらい日々でした。
今は甲状腺専門医の先生によって、チラージン50を飲んでいます。
疲れや軽度の冷え性が残るのですが、見違えるほど改善し正常に近づきました。軽症なので専門医の先生でも「定期検査」だけで薬を処方してくれない先生もいらっしゃいますが、私の主治医は軽症でも積極的にチラージンを処方してくださり有難く思っています。
軽症の橋本病でも、自律神経失調症のような生活に支障がでる症状があると、大変つらいです。
患者の立場から、軽症でも軽視しないでほしいと思います。
一般内科の先生も「冷え性=貧血」だけでなく、「橋本病」も疑ってほしいです。ぜひ、一般内科の先生ももっと甲状腺について古い知識だけでなく、新しい知識を吸収してくださるとありがたく思います。
私の場合、軽症の橋本病でしたが、チラージンでかなり体調が改善され、本当に主治医に感謝しています。

by Kim (2014-10-13 10:15) 

Kim

杉村みきさん、コメントありがとうございます。

お名前をクリックするとメールアドレスが表示されていましたので、申し訳ありませんが削除させていただき、同じものをコピーさせていただきました。

おっしゃるとおりで、医者は色々な病気の可能性を考え、患者さんの問題を解決しなければなりません。が、体調が悪い原因は様々であり、なかなか診断が付かない場合も多いことは理解して頂けると嬉しいです。

TSHが10以下でもチラージンを処方すると言う事については、様々で問題はありません。他の方へのコメントでも書きましたが、医学と医療は違います。ある人は水をたくさん飲むことである病気が治ったと言っているとします。その人はそれで良いでしょう。しかし、本当に水をたくさん飲んでその病気が治るかどうかは、無作為化試験というものを行わないといけません。水をたくさん飲む人と飲まない人を比べると言う事です(本当は本人が水をたくさん飲んでいるという自覚がないようにしなければいけないので、この比較試験は科学的には正しくありませんが)。

我々医者は一般論も学び、個々の患者さんに対してその一般論が適応できるかどうか考えるのも仕事の一つです。インターネットで調べてこうだったから、こう言う薬をくれと言う人がたまにおられますが、それで医療が出来るなら、医学部で6年学び、その後も色々な経験を積みながら学ぶ必要がありません。ちょこっとコーチに教わって練習したら、イチローを超えられると言っているのと同じです。

医学の一般論としては、TSHが10を超えない人にチラージンを飲んでもらうことは意味がないという風にされています。このブログではそういう事を書かせて頂いています。

ですので、杉村さんがチラージンを飲まれて体調が改善されたと言う事を否定はしませんが、他の人へも薦めますは言いません。担当医の先生の治療はばっちり当たった訳ですが、その先生は、TSHが10を超えていないけれど、何かがあるので処方した方が良いと考えられたのでしょう。その「何か」を見つけたり作り出したりするのが専門医です。

by Kim (2014-10-13 10:26) 

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