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ワーファリンとヘパリンを何故併用するのでしょう? [研修医教育]

 「看護師教育」あるいは「看護師さんからの質問」というカテゴリーにしても良いかも知れませんが、頻繁にある訳ではないので、研修医教育とします。看護師さんに教育できる知識もありませんので。

 先日看護師さんに聞かれました。ワーファリンを止める時には(手術や内視鏡など、結構頻繁にそういう患者さんがいます)ワーファリンを止めてヘパリンを開始するのに、何故ワーファリンを始める時にはヘパリンとしばらく併用するんですか?と。

 最初に簡単な解説です。血管の中で血の塊が出来てしまう病気は沢山あり、脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞など有名です。が脾臓や腎臓、腸も梗塞を起こします。これらの治療にはアスピリンとかワーファリン、ヘパリンと言った薬剤が使われます。非常におおざっぱですが、動脈血栓は血小板の作用が大きいので抗血小板薬であるアスピリンを使用します。静脈血栓は凝固因子の作用が大きいのでワーファリンやヘパリンを使用します。

 また心房細動では、心房が統一なく収縮しているので心房内で血液の動きが少なくなり血栓ができますので抗血小板薬でなく、ワーファリンやヘパリンを使います。塞栓症という病気は心房細動があることが多いのでアスピリンはあまり使いません(たぶん)。

 血栓と塞栓は区別して理解しておく必要があります。

 さて、ワーファリンという飲み薬を飲み始めると、肝臓で作られる凝固因子というタンパク質が減ってきます。凝固因子によって二次止血(いったん血小板という糊みたいなのがくっついた穴をきちんと固める作業です)が完成します。よって血液が固まりにくくなるのですが、その作用が現れるまで4-5日かかります。また血液を固まらなくする物質もあって、最初にそれがなくなる(半減期が短い)ためにかえって血が固まりやすくなる場合もあります。

 今日今から血の塊が出来ないようにしたい場合、ワーファリンだけでは駄目です。よってヘパリンという注射薬が必要となります。4-5日すればワーファリンが効いてきますので、ヘパリンをやめることが出来ます。

 短期間の抗血栓作用でよければ、ワーファリンは必要なく、ヘパリンの注射だけ行えばよいです。手術後の静脈血栓予防にはワーファリンは必要ないという訳です。

 ワーファリンをやめる時にはワーファリンがしばらく効いていますが、関係なくヘパリンを投与します。手術や内視鏡の直前まで抗血栓作用が必要だからです。ヘパリンは投与を中止すれば、数時間で作用が切れます。

 詳しくはこちらをご覧下さい。

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Hirosuke

ワーファリンを飲んでる人は納豆を食べてはいけないと聞きました。
本当ですか。
なぜですか。

お手すきの際に記事にして頂けたら幸いです。
by Hirosuke (2010-09-27 11:37) 

Kim

Hirosukeさん、コメント&nice!ありがとうございます。

鋭い突っ込みありがとうございます。ワーファリンを飲んでいる人は確かに納豆禁止です。確かビタミンKが沢山含まれているからだと思いましたが、、、、そう言われると自信ありません。

近日中に記事にさせて頂きます。ありがとうございます!!

by Kim (2010-09-27 15:56) 

andante

私も以前、カテーテル治療をした後、ワーファリンを飲んでいた時がありました。
栄養士や薬剤師の方に、決戦を作るので納豆は厳禁、たとえ少しでもダメでした。
ダメと言われると無性に食べたくなるので、食事制限は辛いですね。
後はグレープフルーツ・緑黄色野菜です。
栄養面から言うとまったく摂らないのは良くないので、たとえはほうれん草もおひたしにするとカサが減るので注意する事、青汁などはダメでした。
それにしてもワーファリンを飲んでいる時は、少しの傷でも中々出血が止まらないですね。
かなり時間が経ったから大丈夫かと思ったら、手がなぜか濡れていると思って見ると、傷口が開いて血液で真っ赤でした。
ワーファリンを飲んでいる時の、注意事項の冊子に書かれていた通りでした。
びっくりです。

by andante (2010-09-28 00:53) 

ask

ワーファリンは血中のPIVKA(protein induced by vitamin K absence)を上昇させることで出血傾向をおこしますから、納豆のようにVitamin Kを含む食べ物では、Vitamin K欠乏が解消されてワーファリンの効果が阻害されると昔習ったと思います、間違ってたらすいません。
by ask (2010-09-28 07:26) 

たいせい

納豆のナットーキナーゼに抗凝固作用があると主治医から聞きましたよ。
by たいせい (2010-09-28 14:53) 

Kim

andanteさん、コメントありがとうございます。

確かに食事制限はつらいですね。ワーファリンを飲んでいる人は色々大変です。

by Kim (2010-09-28 18:23) 

Kim

askさん、コメント&nice!ありがとうございます。解説して頂き感謝申し上げます。

当ブログは正確な情報を目差していますので、ちゃんと調べて記事をアップします!

by Kim (2010-09-28 18:24) 

Kim

たいせいさん、コメントありがとうございます。

ナットウキナーゼは日本人が発見した物ですから、きちんと記事にしたです!!後日です。

by Kim (2010-09-28 18:25) 

Y2

ワーファリンの抗血栓作用はaskさんのご指摘の通りビタミンKが原因で抗血栓作用が減弱しますのでビタミンKを多く含む食品などと摂取することは好ましくありません。
ビタミンKの大変多く含まれるモノに納豆、クロレラ、青汁がありコレらは絶対に摂取しないよう注意してください。
そのほかの緑黄色野菜にもビタミンKは含まれますが、一度に大量摂取しないよう注意して摂取すれば一応大丈夫とされています。(栄養学的見地からも緑黄色野菜の摂取を禁止することは難しい)

たいせいさんの指摘するナットウキナーゼは、寧ろ血栓溶解作用を示すとされています。
納豆に含まれる納豆菌は人間の腸内でビタミンKを産生しますのでそちらと混同されていると思われます。


by Y2 (2010-09-30 02:53) 

Kim

Y2さん、コメント&nice!ありがとうございます。

丁寧な解説ありがとうございます。私が記事にする必要があまりなくなりました(^.^)が、そのうち記事にします!!

by Kim (2010-09-30 07:05) 

古賀麻美

こんにちは。福岡の整形外科に務めています。腰椎の手術では、血腫ができて神経をより圧迫しない為に術後よりヘパリンを流すコトがあると聞きましたが本当でしょうか?また、なぜヘパリンなのでしょうか?ワーファリンの注射とかないんですか?
by 古賀麻美 (2012-09-01 02:55) 

Kim

古賀麻美さん、コメントありがとうございます。

詳しくありませんが、血腫が出来ないためにヘパリンを使うというのはないと思います。別の所に血液の固まりが出来て肺に飛ぶのを予防するために使うことはありますが、、、、

あとワーファリンの注射はありません。あっても半減期が長いので使いにくいです。投与を始めたらすぐに効いて、辞めたらすぐに効果が亡くなるという薬が使いやすいですが、なかなかないです。

by Kim (2012-09-02 22:20) 

あこ

はじめまして、ブログ拝見させて頂きました。

深部静脈血栓症について教えて下さい。。
父の左足がパンパンに腫れ、深部静脈血栓症で先週緊急入院しました。
左足全体に血栓があり、肺にも小さいものがいくつか飛んでいるとのことで、肺・脳に大きな血栓が飛んだら危ない、また、再発しやすい状態の為、即フィルターを入れました。

その後実際にこの病気で入院した方のブログ等拝見していると、フィルターを入れている人はかなり少ないようです。。
同じように肺に飛んでいる人でも、フィルターをいれず、ワーファリンとヘパリンの治療のみでした。

フィルターを入れる、入れない、というのはそれぞれの先生の考え方で変わってくるのでしょうか? それとも父のように再発する可能性が高い人にはフィルターを入れるのは普通のことでしょうか?

また、ヘパリン点滴のあと、サーファリン服用となるようですが、父はヘパリンの点滴はしてなかったように思います。
始めの4日間は点滴をしておりましたが、点滴袋にヘパリンとは記載されてませんでした(何で記載されていたかわ忘れてしまいましたが。。)
サーファリンのみの治療もあるのでしょうか?

お時間ありました時にご存知でしたら教えて頂けると幸いです
宜しく御願い致します











by あこ (2012-10-03 18:52) 

Kim

あこさん、コメントありがとうございます。

こちらに記事にさせていただきました。

http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-10-04
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-10-05

しかし現場は色々なので、教科書通りにはなりません。恋愛マニュアルと同じです。一番は担当の先生に聞かれることです。

by Kim (2012-10-04 11:12) 

三智子

初めまして。12月6日にアメリカ人の主人が日本へ一時帰国した際肺血栓塞栓症と診断されて急遽入院しました。その後順調に回復しましたが、先週の日曜日に再度血栓が肺に上がり、再度ICUに入り現在は大分落ち着いております。

その2~3日前にワーファリンが投与され始まりましたが、ワーファリンにもしかしたらアレルギーかもしれない症状(湿疹かゆみ)が出て一時そのワーファリンを止めておりました。尚、現在2日前から再度試験的に投与されております。ヘパリンは点滴で毎日投与されております。

さて質問ですが、昨日先生に本人が(どの薬のことを言っているのは確認できませんが)、その薬が保険外の治療になってしまうと聞き、もし現在投与されているヘパリンが保険外だったらすでに何本も投与されており今後の治療費のこともあり失礼ながらご存じでしたら。お教え下さい。
ヘパリン、ワーファリンは保険外治療なのでしょうか?
by 三智子 (2013-12-22 11:38) 

Kim

三智子さん、コメントありがとうございます。ご心配ですよね。

ワーファリンとヘパリンは保険適応ですよ(日本では)。両方使っても問題ありません。

ワーファリンが使えない体質のようですから、それが保険適応にならないのでしょうね。日本では混合診療というのが禁止されています。保険適応の治療と、非適応の治療を一緒にするのが混合診療です。

全額自己負担か、非保険適応の治療を無償(病院が負担)で行うことになりますが、一般的には後者が選択されますので、心配ないです。

また、困ったことがあれば、いつでも書き込んでくださいね。

by Kim (2013-12-22 23:07) 

旅人

ヘパリンについて調べていてブログ拝見させて頂きました。
有難うございます。

ワーファリンとビタミンKについて質問があったので一言

ワーファリンは肝臓のビタミンKサイクルを阻害して血液中の凝固因子の生成を阻害する薬なのでビタミンkを多く含む食物を食べると薬の効果が弱くなります。今は血液凝固因子に対して直接的に作用する薬もあり、そのお薬だと食事制限はほとんど必要なくなります。ただし薬価は高いですし、心房細動(正確には非弁膜症性心房細動)のみの適応ですのでワーファリンよりも保険適応はせまいです。
残念ながら肺塞栓症の適応もありません。
by 旅人 (2014-02-12 02:42) 

Kim

旅人さん、ありがとうございます。

新しい薬はモニターする検査がないのが難しいようですね。ワーファリンだと血液検査でPT-INRと言うので調節できます。

臨床は色々難しいですね。

by Kim (2014-02-12 07:20) 

あき

出欠傾向の人に禁忌なのはワルファリン。
ヘパリンはいいんですか?
そこの区別がよくわからないです!
教えてください!
by あき (2015-02-19 21:01) 

Kim

あきさん、コメントありがとうございます。

ヘパリンもワーファリンも同じように血液が固まる部分を傷害しますから、出血傾向には禁忌ですよ。ただ、出血傾向があっても使わないといけない場合もあります。

DICは出血傾向を起こしますが、血液が勝手に固まり始めるのがいけないので、出血傾向でもヘパリンを使うのが正しいです。

色々と難しいですよね。

by Kim (2015-02-19 22:21) 

ちか

弁置換術やペースメーカー挿入中の患者が重症貧血+出血傾向で血液疾患を疑われ、精査目的で入院してきました。
血液疾患に関してはこれから精査する予定になっています。
が、その患者さんの点滴のオーダーが
5%glu500ml+ヘパリン9000単位
ソルデム3A500ml+VitK1
なのです。
ヘパリンとVitKを併用する理由を教えて頂けませんか?
by ちか (2015-06-17 23:02) 

Kim

ちかさん、コメントありがとうございます。

たぶんですが、、、、、、、弁置換術を受けておられると言う事はワーファリンを飲んでおられたのではないでしょうか?

出血傾向があって重症貧血、、、、、、、これ以上出血させると困るので、ワーファリンは中止。ワーファリンの効果は数日は継続しますので、それを止めるためにビタミンKを投与。ビタミンKを投与すれば、すぐ(数時間)ビタミンK依存因子が増えてきて血液は固まりやすくなります。

でも、弁置換を受けているので、血液が固まりやすいのは変わらないので、コントロールしやすいヘパリンに変更と言う事ではないでしょうか。ヘパリンも拮抗薬がありますし、半減期が短いので、例えば骨髄穿刺をする事になっても、当日の朝中止して、処置後に再開すればいいです。

色々検査が終わって、退院前にはワーファリンに変更。その時にはきっとヘパリンを続けながらワーファリンを開始しますよ。

by Kim (2015-06-18 00:16) 

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