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院内にAEDを置くことは意味があるか?? [CPRの基礎]

 AED(自動体外式除細動器)は、病院の外で一般市民が使用することを想定しています。院内ではどうでしょうか?マニュアル式除細動器は医師しか使ってはいけません。医師が常に病棟や外来にいればいいですが、いつでもどこでも医師がすぐ来られるとは限りません。

 アメリカ心臓協会(以下AHA)は、院内で発生した心停止に対して、心停止から3分以内に除細動を行うことを推奨しています。それを実行するためには、常に医師が3分以内にその現場に到着できる体制が必要です。しかし、多分無理でしょう。

 よって、医師でない者がAED(あるいは手動式除細動器のAEDモード)を使えば患者さんがより助かるのではと思われ、院外では実際にそういうデータもあるようです。

 こちらのサイトの記事(会員登録が必要です)によれば、院内にAEDを置いても生存率の向上には寄与しないことが分かったそうです。

 原文はこちらです。以下に要約を多少はしょって載せてみます。

 目的:院内発生の心停止に対してAEDを用いることと生存率との関係を調べる。
 対象と方法:アメリカ合衆国内の204の病院にて、2000年1月1日から2008年8月26日までに発生した11695人の一般病棟に入院中の心停止患者を対象とした。
 結果:AEDの使用により生きて退院できた割合を一番の研究対象とした。11695人中9616人(82.2%)がショックの適応でないリズム(心静止と無脈性電気活動)であり、2079人(17.8%)がショック適応のリズム(心室細動と無脈性心室頻拍)であった。AEDは4514人(38.6%)に使用された。2117人(18.1%)が生存退院した。対象期間中、AEDの使用により生存率が低いことが示された(16.3%対19.3%、両者の比は0.85で、95%CIは0.78−0.92)。ショックが適応でないリズムによる心停止では、AEDを使用すると生存率が低くなった(10.4%対15.4%)。一方ショック適応のリズムでは、AEDを使用した場合とそうでない場合と生存率の差を認めなかった(38.4%対39.8%)。この傾向は、急性期病棟、モニターが使われないような慢性期病棟のどちらでも認められた。
 結論:入院中の患者に発生した心停止において、AEDの使用は生存率の改善と関係がない。


 AEDと手動式除細動器の最も異なる点は、波形の解析時間です。AEDでは波形の解析が始まってから、実際にショックが行われるまでにかなりの時間がかかります。10秒以上はかかるでしょう。その間に胸骨圧迫を中止しなければなりませんので、それが生存率の低下に繋がる可能性があります(特に心静止やPEAの場合)。

 しかし、手動式除細動器だと医師の目で波形を判断しますので、慣れた医師ならば一瞬で終わります。充電中も圧迫をすることが出来ますので、胸骨圧迫の中断時間を短く出来ます。欠点としては、本当は心室細動なのに、担当医が心静止だと言う場合などがあります。周囲の人が「VF?」と思っても、偉い先生だったり日本刀のような先生(よくキレル)だったりすると、誰も意見できません。この場合にはAEDだと誰も文句言えません(^.^)。AEDの利点の一つ?です。

 初回ショックの開始を優先するか、ショックの適応の判断を優先するか、色々複雑な要因が関係しているんでしょうね。どちらにしても質の高いCPRが行えるよう、除細動器を早く準備できるよう、スタッフの訓練が大切ですね。


2010-11-18 21:43  nice!(2)  コメント(4) 
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コメント 4

godspeed
以前、某病院のBLSコースを受講したときに、インストの循環器の先生から、院内AEDが使用された時の音声データを聞かせていただきました。

使用者は病院勤務の看護師さんだったと思いますが、待合ロビーで患者さんが倒れたときに、まさにBLSを実践したそうです。
取り巻きの誰かが「除細動器もってこい」と言ってる中、AEDを使用して自己心拍再開・自発呼吸・意識も徐々に戻ってきたというものでした。
もちろん、AEDが来るまでの間に、CPRもしていたと思いますが。

その音声を聞いて、AEDってすごい!!と心の底から思いました。
ただ、運が良かっただけといわれればそれまでのことですが・・・。
この研究的には救命率の向上に寄与しないらしいですが、実際に救われた人がいるというのも事実なので、向上しないからいらないとなって欲しくないですね。
by godspeed (2010-11-21 15:20) 
godspeedさん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通りです。研究と言うのは良く考えて利用しないといけません。生存率の向上とは関係がないと言う結論であり、悪いと言う訳ではありません。

また心停止と言っても癌の末期の人とか、もう止まると分かっていた人とかが入っているのかどうか、良く分かりません。スタッフの訓練のレベルもちがうでしょうし、AEDは不要と言う風にはなりません。

大切なのは、いつでもどこでも人が倒れる可能性があり、その時に迅速な対応が必要だと言う事を全ての人が認識する事ですね。AEDはそのために必要なツールの一つでしかないと言う事です。

合コンでビールを飲むと成功率が低いと言うデータが例えば出たとして、ビールはやめようかなんて考える人は、きっと合コンでは成功しないでしょうね。


by Kim (2010-11-21 15:42) 
godspeed
合コンで成功する・しないにしても、ビールは止められないです。

たばこがそうであるように、身体に悪いというデータ・研究結果があるにしても、そうは止められません(≧д≦)。

人はかくして単純じゃないですね。多分・・・。
by godspeed (2010-11-22 00:42) 
godspeedさん、コメントありがとうございます。

考える料理人と言う言葉があります。本の通りに作ってもおいしい物が作れるとは限らないと言う訳です。2000年のACLSの本に書いてあります。

by Kim (2010-11-22 06:31) 

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