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細菌性の風邪はありません。 [医学関連]

 この記事にコメント頂いたので、記事にさせて頂きます。

 仕方ないのでしょうが、医者が言う事と、皆さんが理解されている事は違います。

 厳密な「風邪」「感冒」と言う病気は、急性の上気道感染症で、ウイルスが原因のものです。ウイルスって?と言う人は生物に詳しい方に聞いて頂くと良いかも知れませんが、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫はそれぞれ別のものです。

 抗生物質(この場合には抗菌薬と言う意味です)は、細菌にしか効きません。ウイルスに効く薬は抗ウイルス薬、真菌に効く薬は抗真菌薬、寄生虫に効く薬は抗寄生虫薬と呼ばれています。

 風邪はウイルスが原因ですので、抗生物質は無効です。もし有効だったとすれば、それは細菌が原因であったと言う事であり、直ちに風邪と言う診断は却下されます。

 風邪に使うとすれば抗ウイルス薬です。しかし、残念ながら風邪の原因であるウイルスは多種多様で、仮に原因ウイルスが突き止められたとしても、有効な薬は現在ありません(インフルエンザは風邪と似ていますが、原因ウイルスが突き止められていますし、風邪より重症なので、風邪ではありません)。

 UpToDateと言うサイトを見てみます。これは有料の医学文献サイトで、これに書いてあったと言えば、反論できる医師はほとんどいないぐらい信頼のあるものです。このブログでは水戸のご老公様と呼んでいます。

 水戸のご老公様の「成人の普通感冒:診断と臨床的特長」と言う文献からの引用です。と言っても原文は英語なので私の日本語訳を、、、、

 普通感冒は、数種類のウイルスによって引き起こされ、死亡する事はまずない自然治癒する症候群である。米国や先進国では最も頻度の高い急性疾患である。「普通感冒」と言う言葉は、軽度の上気道ウイルス性疾患をさし、さまざまな程度のくしゃみ、鼻閉感、鼻汁、咽頭痛、咳、微熱、頭痛、全身倦怠感をきたす。インフルエンザ、扁桃炎、急性気管支炎、急性細菌性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、百日咳とは別の疾患であり、厳密に区別されるべきである。


 日本のサイトを探すと、こちらにありました。
 「医療機関(主に開業医)は風邪の患者に対して抗生物質を処方することもある。しかし風邪の多くはウイルスの感染症であり、抗菌剤である抗生物質は風邪の治療に効果がないことが多い。抗生物質の投与は細菌感染による肺炎などの合併症の予防のためという根拠も脆弱として、日本呼吸器学会は風邪への安易な抗生物質処方を控えるべき旨のガイドラインを発表した(抗菌薬の適正使用)。」


 何故こんなことを医者はいちいち考えるのか??風邪でも抗菌薬出せばいいじゃないか!と思うかも知れません。

 その理由は全体の事を考えてです。目の前に現れた「抗生物質をくれ」と言う患者さん一人の事は考えていません。その一人に対してならば出しても多分問題ないでしょう。意味がないだけで、副作用が出るかも知れませんが、自己責任です。医療費も7割は他の人の負担となりますが、まあちょっとの額です。

 しかし、前の人はもらったらしいじゃないですか!私の知り合いはもらったと聞いています!普通くれるでしょう!!などと言われて断れず、どんどん出すと、耐性菌と言うのが出てくる危険があります。そうなると薬が効かない細菌が増え、患者さんが死亡、下手をすれば自分も感染して死亡するかもしれません。
 また風邪に対して抗生物質を多くの国民が服用すれば、医療費がかなり増えます。

 医師にはこう言った事態を未然に防ぐ義務があります。医師法にも「国民の健康な生活を確保する」と書かれています。国民一人一人でもあり、国民全体でもあります。

 よって、抗生物質をもらえなくても理解して頂けるとうれしいです。

 続きの記事を後日アップします。
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通りすがり

3歳ですが、40度の熱が5日ほど続いています。ぐったりはしてなく、3日目ごろから咳がひどくなりました。
4日目の朝、救急の先生に血液検査など何もしていないのに、
「ウィルス性だから心配ない。抗生剤は効かない。水分とって寝ているしかない。」と言われました。この記事を読み、その先生の言われた理屈は理解できました。ただ、何を根拠に細菌感染でないと判断したのかがわかりませんでした。近所の小児科で抗生剤を処方されていたので、飲ませましたら、翌朝は熱がさがり咳も収まっていました。その後また上がりましたが・・・。
効果があったようなので、細菌感染かと思ったのですが、ご意見伺いたいです。
ウィルス性と細菌性に関して、続編お待ちしています。
by 通りすがり (2011-05-23 14:23) 

Kim

通りすがりさん、コメントありがとうございます。

これは大変難しいご質問です。一般的な事はブログで何とでも書けますが、個々の事に関しては実際に患者さんを診せて頂かないと何とも言えません。

私の個人的な意見です。私は小児をほとんど診ませんので、小児を良く診ている人は違うかも知れませんが、、、、
・レントゲンと採血はします。
 5日も熱が続いていれば、大人でも検査をします。風邪ではない可能性が高いと考えるからです。小児でも、すぐ小児科の先生と相談できるのであれば、まず相談しますが、無理であれば採血と胸部レントゲン、検尿をすると思います。
 ただ、検査と言うのは診断の補助的なものであり、全てではありません。その先生が診察され、風邪であると診断されれば検査の必要はありません。検査についてはなかなか難しいのですが、とにかく検査をしなければならないと言う法律はありませんし、医師の間でもそう言う考えはありません。
・細菌感染ではないと判断した理由
 すみません。私には分かりません。私は外科医で、小児科や内科は苦手です。
・抗生剤を飲んだら熱が下がった
 抗生剤が有効だったと言う根拠にはなりません。
 抗生剤の効果と熱の上下は直接関係ありません。これは医師でも知らない人がいるのですが、効果があると熱が逆に出る場合もあります。熱が続くから感染症が良くなっていない訳でもありません。
 書くと長くなるのですが、たぶん咳が良くなっていれば効果があったと考えられます。
by Kim (2011-05-23 15:51) 

通りすがり

丁寧なコメントを返して頂き、ありがとうございました。
結局、私の3歳の息子は救急で診て頂いた翌日、他の病院で再検査し、肺の両サイドに広がる肺炎と診断され、緊急入院しました。細菌性のもので、抗生剤の点滴で回復しました。
救急で先の診断をしたのは若い小児科の先生で、
「レントゲンは異常ない」「ウィルス性だから抗生剤は捨てなさい」
「40度の熱が1週間続くのは良くあること、気にしなくて良いです。」
と言われて帰された末の結果でした。
Kimさんのコメントを読み、やはり40度の熱が何日も続けば検査はするものとわかり安心しました。知識がないが故に反論でず、子供に辛い思いをさせた事を後悔しています。
色々お勉強になりました。
細菌感染や抗生剤のコメントもありがとうございました。
by 通りすがり (2011-05-25 14:26) 

Kim

通りすがりさん、コメントありがとうございます。

そうだったんですね、、、、お子様は病状の変化が早いので何とも言えないのですが、無事に回復されて良かったですね。

また分からない事があればいつでもコメント頂ければ幸いです。一般的な(というか私の個人的意見)しかお返しできませんが。

by Kim (2011-05-25 15:33) 

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