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死戦期呼吸について(更新記事) [CPRの基礎]

 これはこちらの記事のアップデートです。3年前ですから、、、、アップデートです。

 それから11日間ブログをお休みさせて頂きました。休もうと思った原因は未だ解決していないのですが、まあ良いか、、、、と言う気持ちになったので再開させて頂きます。理由はここに書けませんのでよろしくお願いいたします(女性問題、お金の問題、体調の問題、仕事が忙しい等ではありません)。

 不思議なもので、休んでいれば記事が沢山たまるかと思ったのですが、全然でした。やはり締め切りがないと良い作品は生まれないのでしょう(と誰かが言っていました。あっ、良い作品ではないですね)。


 「死戦期呼吸」と言う言葉を聞いた事があるでしょうか?「あえぎ呼吸」とも言われています。英語ではagonal gaspingとかagonal breathingと言われています。医療ドラマ等では何故か「下顎呼吸」と呼ばれる事もあります。

 美人ナース 「先生!あの(物語の主人公)Aさんが下顎呼吸になりました!」
 イケメンドクター 「えっ!あのAさんが!家族以外にあの(何故か謎の異性)人にも連絡して!」
 美人ナース 「でも、、、、ご家族は許してくれるんでしょうか?」
 イケメンドクター 「そんな事今言っている場合じゃないだろ、、、(と優しく肩を叩く)」
 美人ナース 「先生、、、、(完全に惚れている)」

 ほ乳類では、生下時と死亡時に低酸素状態となると出現するそうです。生まれたばかりの子供は病院で管理されていますので、新生児を扱う人以外は関わる事がないでしょう。

 我々は、亡くなりそうな人の場合には良く遭遇します。我々医師が患者さんの死亡宣告をする場合に、早すぎるとトラブルとなるからゆっくりと、、、、と言うのは、この死戦期呼吸があるからです(詳しく知りたい方は別記事を参照して下さい。後日こちらに書く予定です)。

 この死戦期呼吸を正常の呼吸と区別するのは難しく、心肺停止になっているのに呼吸をしているから心肺蘇生は必要ないと判断されてしまうのが問題です。教科書的に言えば、死戦期呼吸は不規則で、多くの筋肉を使って(体が大きく動く)大きく急激な吸気が行われるそうです。正常な呼吸は規則的であり、横隔膜と肋骨の間の筋肉を使って行われます。知りませんでしたが、動物実験ではほぼ100%に出現し、実際の診療場面では40%程度で出現するそうです。ある研究では心停止患者のおよそ3分の1で4分間以上続いたそうです。

 死戦期呼吸は生体防御としての意義があるそうで、血液中にかなりの酸素を取り込み、かなりの血液を送り出すのだそうです。よって、死戦期呼吸が認められた患者さんの方が助かる確率が高く、何と3倍もの高い生存退院率があったそうです。

 ガイドライン2005のP.28には「散発性の喘ぎ呼吸がみられる傷病者は呼吸をしていない傷病者と同様に処置し(クラスI)、人工呼吸を行う」と書かれていますので、間違えないようにしましょう!
 ガイドライン2010のP.687にも「If the victim also has absent or abnormal breathing (ie, only gasping), the rescuer should assume the victim is in cardiac arrest (Class I, LOE C).」とあります。傷病者に呼吸がなかったり異常な呼吸(すなわち死戦期呼吸)をしている場合は、傷病者は心停止であると判断すべきである(クラス1)となります。

 これほど重要な死戦期呼吸ですが、、、、医学生にビデオを見せて調べた所、31%の学生が正常な呼吸と判断し、正しい処置(人工呼吸ですね)を解答できた者は8%しかいなかったそうです。しっかりと死戦期呼吸に対して講習を受ければ75%の人が認識できたと言うデータもあるようで、是非多くの人に死戦期呼吸について知ってもらう必要がありそうです(が、TCLSではそこまでやれていません)。

 ガイドライン2005P.28には「CPRの訓練では、散発性の喘ぎ呼吸の見分け方に重点を置く必要があり、反応のない傷病者に散発性の喘ぎ呼吸がみられた場合は、まず人工呼吸を行い、それから次の手順に進むよう指導すべきである(クラスIIa)」とありますが、クラスIじゃないんですね。
 2010では「Rescuers should be taught to initiate CPR if the adult victim is unresponsive and is not breathing or not breathing normally (eg, only gasping) (Class I, LOE B).」とあります。成人の傷病者に反応も呼吸がない、あるいは正常に呼吸をしていない(例えばあえぐのみ)場合には、救助者が心肺蘇生を開始するように教育されるべきである。と言う事です。
 たぶんですが、クラスIに格上げになっています。当然です!

参考資料
 救急医学31巻、2007年、P.997-1000の「死戦期呼吸」(鈴木昌著)


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