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心肺停止時に薬剤投与をしたら上肢を挙上すべきか? [CPRの基礎]

 2009年2月15日、ちょうど8年前に書いた記事の更新です。が、内容は変わっていません(^^)。

 心肺停止の患者さんの蘇生中に、手や足に確保した点滴から薬剤を入れた場合、その手や足を10〜20秒間挙げるべきとされています。多くの講習会でも、そうするように教えられるはずです。

 しかし、本当にこれは有用なのでしょうか???例えば、長いホースに水を満たし、両端を繋げて輪っかにし、どこかから薬を入れて、入れた部位を上に挙げたら薬は早く下に移動するのでしょうか?もちろん、心肺蘇生中の人の血管の中はどうなっているのかは分かりませんが、、、、、、、

 しかし、救急蘇生法の指針2015(第5版)P.62には「到達を助ける目的で投与側の肢を10〜20秒間持ち上げる」と書かれていますし、ACLSのテキスト(英語版しか持っていなくてすみません)P.105にも末梢から薬剤を投与した場合、上肢を10〜20秒挙上しなさいと書かれています。

 こう言う時は、もっと元になる文献を参考にします。AHAのガイドライン2015年度版には以下のようにあります。

 If a resuscitation drug is administered by a peripheral venous route, it should be administered by bolus injection and followed with a 20-mL bolus of IV fluid to facilitate the drug flow from the extremity into the central circulation. Briefly elevating the extremity during and after drug administration theoretically may also recruit the benefit of gravity to facilitate delivery to the central circulation but has not been systematically studied.
 心肺蘇生中に薬剤を末梢静脈ルートから投与した場合、ボーラス投与とし、末梢から中心静脈へ薬剤が到達しやすくするために、20mlの輸液でフラッシュすべきである。薬剤投与前後に四肢を挙上することは、理論的には重力により中心静脈へ薬剤が早く到達すると思われるが、詳しく検討されたことはない。

 根拠となった文献は1990年に出されたもので、以下の文献です。
Emerman CL, Pinchak AC, Hancock D, Hagen JF. The effect of bolus injection on circulation times during cardiac arrest. Am J Emerg Med. 1990;8:190–193.

 9年前の記事では1988年に出た文献が引用されているとありましたが、2年新しくなったんですね(^^)。

 結局どっちでもええねん!と言う事だと思います。そもそも、薬剤の投与そのものが生存退院率(元気に退院できる割合)を増やすというエビデンスがないのですから。

 難しいことを考えると疲れますね。


救急蘇生法の指針 医療従事者用 2015

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