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造影CTを撮りたくないあなたへ [医学関連]

 最初にですが、私は原則必要だと思ったら単純、造影CTをオーダーしています。私は救急医ですから、緊急性のある疾患を見逃した場合、患者さんに大きな危険が及ぶからです。普通の外来をしていたことがありますが、当然その時には別の対応をしていました。

 診療放射線技師さん、救急はあまり関わらない医師などと、造影についてもめることがあります。技師さんは、なんで造影するんですか?と言いますし、医師には、こんな腎臓が悪い人に造影なんて!!と言われます。

 今日はこの事について考えてみましょう。

 例えば、こちらのRocky noteを読んでください。非常にきちんと調べてまとめている資料で、かなり信頼度が高いです。
 こちらには、過剰に恐れるのではなく、正しく恐れることが大切とあります。

 最近出版された、日本版敗血症診療ガイドライン2016P.S35にも造影CTについて書かれています。

 「造影剤を用いたCTは情報量が多く、感染巣診断および治療方針決定のために重要な手段であることから、CIN発症を危惧して造影CTを躊躇する必要はないと考えられる。」
(CINは造影剤腎症のことです)

 私が学生時代には、アメリカ帰りの脳外科の教授が、アメリカでは医師が単純CTをオーダーしても、放射線科医が造影もオーダーするんだと言っていました。アメリカでは、CTがあるところには放射線科医が常駐しているんだそうです。で、単純CTのことを「pre-contrast CT」と言うんだと言っていました。CTを撮ると言うことは、それぐらいの情報が必要だと判断したと言う事です。単純でいいや!と言うのであれば、単純レントゲンやエコーなど他の画像でもいいのかも知れないということです。
 単純CTでも診断できるんだという論文がありますが、多くは放射線科医が読影しています。プロの読影であれば単純でもいいのかも知れませんし、単純でも診断できるような撮像方法というのがあるのでしょう。early CT signが良い例ですね。私は全く読めません。だからMRIを撮像しています。

 私が以前勤めていた病院グループの先生が言っていました。その病院では造影CTを撮りまくっていて、確か2000人の検討でしたが、透析導入になったとか、造影剤腎症で死亡したというような症例はゼロだったと言っていました。しかし、2000人の例えば急性腹症の患者さんを診療したら、診断ミスで死なせてしまったというような例が二桁ぐらいはあるのではないでしょうか。それぐらい診断は難しいです。特に救急の現場では。

 また、救急現場では腎機能の評価が難しいです。救急患者さんの多くは循環血液量減少を伴っています。当然その場合、腎機能は悪いです。採血で腎機能障害があったとして、はたして、これはもともとなのか?循環血液量減少のためなのか?初診の患者さんだと判断が難しいです。逆に採血による腎機能が正常だったとしても、筋肉量の少ないお年寄りでは、本当の腎機能を反映しないという意見もあります。

 よって、CTが必要だと判断したら、勇気を持って造影まで含めたCTをオーダーしましょう。もちろん、単純CTを見てから考えるとか、採血データをチェックしてから考えるとか言う判断が間違いだと言っているわけではないので念のため。

 腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012を紹介して終わりにしたいと思います。P.42にあります。ネットで全文が読めるなんてすごいです。私は書籍を持っていますが。

1. CKD(eGFR<60mL/min/1.73 m2)は、造影CTによるCIN発症のリスクを増加させる可能性が高い。
2. 特に、eGFRが45mL/min/1.73 m2未満の患者に造影CTを行う際には、CIN発症に関する適切な説明を行い、造影CT前後に補液などの十分な予防策を講ずることを推奨する。
(エビデンスレベル:IVa 推奨グレード:B)

 造影CTを行った患者さんを対象としたエビデンスレベルの高い研究がないようです。だから推奨グレードも高くないみたいです。造影剤を行って問題を起こすと言うエビデンスレベルの高い研究もない代わりに、起こさないという研究もないと言う事で、自分で判断するしかないのですが、参考になれば幸いです。

追記
 診療放射線技師さんを最初「レントゲン技師」と書いていて、不快に思う人がいると指摘を受けたので訂正しました。レントゲン技師と言われると不快に思うとは、全く知りませんで申し訳なかったです。教えていただきありがとうございました。


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