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人工呼吸器は従量式か?従圧式か? [医学関連]

 以前この事書いた気もしますが、検索でヒットしなかったので、再度書いても良いと思い、書きます。

 救急医療でよく使う器械の一つに人工呼吸器があります。正確には人工換気というべきなのかも知れません。が、細かいことは別として、人工呼吸器のモードの一つに従圧式と従量式というのがあります。

 人工呼吸器が患者さんに空気を送り始めるきっかけを、器械が決めるのが調節呼吸(control ventilation)と言います。患者さんが決めるのを補助呼吸(assist ventilation)と言います。

 またどのような方法で送り終わるのを決めるのか?で、補助呼吸では患者さんが決めますから特に名前はなく、調節呼吸のみで名前があります。一定の量のガスを送り終わったら終了(呼気になる)と言うのが従量式(volume-control)で、気道内圧がある一定の高さになれば終了するのが従圧式(pressure-control)です。が、現在はちょっと違って、吸気時間というのを決めて、例えば1秒と決めたら、従圧式であれば、1秒で一回換気量を500mlと決めたら、500ml/秒と言う速度(平均で)でガスを送ります。従圧式であれば(最近のはpressure-limited controlと言う様です)気道内圧を20cmH2Oと決めたら、出来るだけ早くその圧に上げ、1秒で呼気になるようですね。不勉強でした。

 どちらが良いのかについては色々議論があって、以前は従圧式の方が良いと言われていました。UpToDateの"Modes of mechanical ventilation"と言う文献から引用してみます。

VOLUME-LIMITED VERSUS PRESSURE-LIMITED — Pressure-limited ventilation was compared to volume-limited ventilation in a randomized trial and several observational studies [9-11]:

●There were no statistically significant differences in mortality, oxygenation, or work of breathing
●Favoring pressure-limited ventilation, it was associated with lower peak airway pressures, a more homogeneous gas distribution (less regional alveolar overdistension), improved patient-ventilator synchrony, and earlier liberation from mechanical ventilation than volume-limited ventilation
●Favoring volume-limited ventilation, only it can guarantee a constant tidal volume, ensuring a minimum minute ventilation

 Most studies comparing pressure-limited and volume-limited ventilation used a square wave (constant flow) pattern for both modes. When volume-limited mechanical ventilation with a ramp wave (decelerating flow) pattern was compared to pressure-limited ventilation, lower peak airway pressures were no longer an advantage of pressure-limited ventilation [12].

従量式か従圧式か?
従圧式換気がいいか、従量式換気がいいかについての研究は、無作為化試験が一つ、観察研究がいくつかある。
・死亡率、酸素化、呼吸仕事量に関して有意差は認めていない。
・従圧式換気の方が、最高気道内圧が低くなり、肺のガス分布がより一定になり(一部の肺胞が過膨張にならない)、患者と人工呼吸器の同調がよくなり、人工呼吸器からの離脱が早い可能性がある。
・従量式換気の方が良い点は、一定の一回換気量を送ることが出来るため、分時換気量が保証されることである。

従圧式換気と従量式換気を比較した研究では、どちらのモードでもスクェアー波(定常流)を用いている。従量換気においてランプ波(流量が次第に減少する)を用いて従圧式と比較すれば、最高気道内圧が低いというのは従圧式換気の利点ではなくなる。

 つまり、どちらのモードを使った方が良いのか?と言う点については答えがないと言うことです。乃木坂46と欅坂46のどちらが良いのか?みたいなことでしょう、、、、、、、たぶん。

 一つ言えることは、臨床医は従量式換気に慣れている人が多いので、従圧式換気はなんとなく使いにくいと言うことです。よって、従量式換気の設定で従圧式換気が出来るというモードも存在していて、こちらのメーカーであれば、PRVCと言う名前になっています。

「PRVCモードでは、気道抵抗、コンプライアンス、自発呼吸など患者さんの状態に合わせて、吸気圧レベルを自動調整しながら設定した1回換気量を送気。PSVと同じ送気ですから、患者さんに対する呼気同調性が高いうえ、ボリュームコントロールに比べて最高気道内圧を低く抑えることができます。」

 この人工呼吸器ベラという名前なのですが、小型のベムとか、最高級クラスのベムとかないのかなあ?




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task

はじめまして。直近の記事とは全く関係ないのですが、アナフィラキシーについて検索していて先生のブログの過去記事を拝見しました。知恵をお借りしたくこちらにコメントさせていただきます。恰幅の良い成人男性が食後呼吸困難を主訴に来院されました。room airでSpO2が90%程、軽度狭窄音あり、眼瞼浮腫軽度あり、それ以外でアナフィラキシーを疑う所見はありません。血圧が200近くあり、脈は100overでした。この段階でアドレナリンの筋注をおこないましたが正しい選択でしょうか。アナフィラキシーに対するアドレナリン使用のガイドラインでは高血圧の場合の指摘がありません。食後1時間程経過しており、血圧も高いのでアドレナリンを使用せず様子を見るという選択も可能だと思いますが、このケースに当てはまるようなエビデンスはご存知ありませんか?因みにこの方既往はありませんが元々高血圧はあるようでした。突然不躾ではございますが何かしらご意見頂けると幸いです。
by task (2017-05-14 15:30) 

Kim

taskさん、コメントありがとうございます。

私も詳しくはないのですが、今調べた範囲では血圧が高いからアドレナリンを使ってはいけないという記載が見つけられません。

まずは気道が大切ですので、SpO2が90%と言うのは危険だと思います。なのでアドレナリンを投与するか挿管するかでしょう。

また、呼吸が苦しいので血圧が上がっているのでしょうから、気道狭窄が解除されれば自然と血圧は下がるのではないでしょうか。そこにアドレナリンが使ってあったとしても大きな事は起こらないと思います。

また調べてアップします!

by Kim (2017-05-14 21:05) 

Kim

こちらの論文を読んでみてください。私が昨日書いたことで間違っていません。

著者の方も血圧が高くてもアナフィラキシーで危険が迫っているのであればアドレナリン投与を躊躇してはいけないと書いています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4970985/pdf/40064_2016_Article_2913.pdf

ちなみにですが、アドレナリンとエピネフリンは同じものです。日本人が先に抽出してアドレナリンと名付けたらしいですが、発表の差?でアメリカ人がエピネフリンと名付けたようです。ヨーロッパでは昔からアドレナリンと言ってくれていますが、アメリカは今でもエピネフリンです。
冥王星の件と言い、アメリカ人は一番とかアメリカ人の名誉にこだわるようですね(^^)。

by Kim (2017-05-15 09:27) 

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