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お前はまだガンマを知らない [研修医教育]

 タイトルは間違いではありません。「お前はまだグンマを知らない」を参考にしています(^^)。群馬でしかやっていないテレビ番組かもしれません。GYAOで無料でみられますので、良かったら是非ご覧ください。

 今の時期、1年目研修医の先生や看護師さんたちを悩ませるものの一つに「ガンマ」というのがあります。群馬と似ているのでなんとなく愛着があります。正確には「ug/kg/min」という単位です。血圧を上げたり、下げたり、その他半減期が短い薬を持続で少量投与する場合に、このような単位で投与量を設定します。そして、ゆっくりと点滴を投与できる輸液ポンプやシリンジポンプと言う器械を使って投与します。

 「体重50kgの人にノルアドレナリンを0.1ガンマから開始して」などと指示が出るのですが、ノルアドレナリンは1ml中に1mg入ったアンプルがあるだけです。それをどうやって、どんな速度で投与するのか?これを決める必要があり、それに慣れていないと頭がこんがらがってしまい、新人医療スタッフは毎日ガンマに悩まされるのです。

 先に私のやり方を。ノルアドレナリンなら2Aを生食20mlで薄めて、20mlの注射器に入れて、シリンジポンプで時間3mlから開始します。これで体重50kgの人なら0.1ug/kg/minで0.1ガンマです。でも、体重が30kgの人でも100kgの人でも同じように指示しています。

 決め方の原則は一つです。まず病院でどうやって投与するのか決めておくことです。つまり、当院ではノルアドレナリンはこうやって溶かすと決めるのです。そうすれば、「ノルアドレナリンを0.1ガンマから開始してください」と言えば、何アンプルを何mlの点滴に溶かして、、、、、、と言う指示を考える必要がありません。看護師さんたちも、いつも決まった量を決まった点滴に溶かせば良いので間違いも少ないです。

 決まっていない場合には、自分で考えなければなりませんが、その考え方を紹介します。

(1)濃度をどうやって決めるか?
 1mg/mlが基本となりますが、3mg/ml(カタボンHighなど)だったり、0.5mg/ml(ニトログリセリンなど)だったりします。ノルアドレナリンは投与するガンマが一桁少ないので、0.1mg/mlの溶液にしたりします。
 これは投与する速度である程度決まります。カタボンHighなどのドパミンが3mg/ml入っている輸液を輸液ポンプで時間1mlという投与をした場合、本当にそんな少量(0.167ml/分)で流れるのか?と言う事を考えます。より正確に流したい場合には、薄い溶液にして、例えば100倍に薄めたら時間100ml1分に1.67ml投与となり、かなり正確になるのではないでしょうか。しかし、そうすると1時間で100ml、1日で2400mlもの水分がカテコラミンだけで入ってしまいます。だから、1mg/mlのカタボンLowにしたら、時間3mlで、投与速度も1日投与量も少し良いかも知れません。
 同様に、20ガンマで投与する薬剤を薄くして投与すれば、水分投与量が増えてしまいますから、薬剤を濃くすれば良いです。

(2)総量をどうするか?
 同じ濃度の薬剤を100ml作るのか、200ml作るのか?と言う問題です。例えば時間8mlで投与する薬剤があったとしたら、24時間で193mlで、だいたい200mlとなります。つまり24時間分です。24時間分を作るのが一般的です。一度作った薬を例えば1週間投与し続けるというのは感染の面からもあまり好まれません。だいたい1日でなくなるように作るのが良いでしょう。
 もし、100ml作ったとすると1日に2回薬剤を更新しなければならず、夜勤の看護師さんに嫌われるかも知れません。

(3)ブドウ糖で溶かすか、それとも生理食塩水か?
 これについては、別に記事を以前書きましたのでご覧ください。

 最後に、私の取りあえずのやり方の解説です。お前の意見なんかいらないという人はここで終わりにしてください。

(1)総量20ml(正確には22ml)の理由
 救急外来で使う場合には、時間3とか5mlとかで開始します。救急外来でノルアドレナリンを使う時間は1時間もあれば良いと思います。自分が主治医になるだろうと思えば、もっと多い量で作って、そのまま病棟でも継続する場合がありますが、多くは他科の先生に主治医をお願いします。それぞれの先生に色々こだわりがあるでしょうから、私が作ったノルアドレナリンがたくさん残っていた場合に、たくさん廃棄されるのがもったいないです。10mlで作っても良いかも知れませんが。

(2)ノルアドレナリンの分の生理食塩水を抜かない理由
 緊急時に使うことが多いでしょうから、例えば生理食塩水100mlのボトルから10ml生理食塩水を抜いてノルアドレナリンを10A入れると言う指示をすると、看護師さんがアンプルからノルアドレナリンを吸い取る作業を10回もしなければなりません。さらに生理食塩水を10ml抜き取るという作業が必要かと言えば必要ないと考えています。10mg/100mlなら0.1mg/mlですが、10mg/110mlなら0.09mg/mlでこれは誤差の範囲と考えます。患者さんの反応も色々なので結局0.1ガンマで開始したけれど反応が悪いから0.15ガンマに増やすとかしますので、1割程度の誤差は良いのではないかと思います。
 生理食塩水20mlの場合には、18mlだけ吸い取れば良いので、大きな手間ではないかも知れませんが、18ml吸い取る作業と全部吸い取る作業では、後者の方が多少楽ではないかと思います。

(3)体重を考慮しない理由
 ノルアドレナリンを0.1ガンマ!と言う指示に対して、何故0.1なのか?0.12ではダメなのか?0.7じゃダメなのか?と言う質問をした場合、0.1ガンマでなければならないエビデンスのある返事は出来ません。結局だいたいの量ですから、適当で良いです。
 また体重が50kgと言っても、人によって血中濃度は違ってくるでしょう。血中濃度がもし同じだったとしても身体の反応も様々でしょう。よって、厳密に、例えば体重55kgの人ならば、ノルアドレナリンを2.2Aにするとか、投与速度を3.3mlに増やすとか、そういう事はあまり意味がないと思います。

 とりあえず、ノルアド2Aを生食20mlで薄めて、時間3mlから開始。後は患者さんの状態によって調節すればいいと思います。


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臨床検査技師M

先生が過去にお書きになったブログを見てご連絡させて頂きました。
今年超音波検査士認定試験を受験する予定です。
所属の施設に超音波専門医がおらず、つてもなく困っています。

大変不躾なお願いなのですが、先生にサインをお願いできないでしょうか?遠方のため、郵送でのやり取りになってしまうのですが…。

業務でお忙しい中恐縮ですが、ぜひよろしくお願いいたします。

by 臨床検査技師M (2018-06-13 19:51) 

Kim

臨床検査技師さん、コメントありがとうございます。

私の勤務先に送っていただければ大丈夫です。

私の勤務先が分からなければ、コメント欄にメールアドレスを書いてください。こちらから連絡します。

ここに書いても私が承認しない限り表示されませんので。ご安心ください。

by Kim (2018-06-13 21:14) 

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