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気管挿管の確認には波形表示呼気二酸化炭素モニターを使いましょう [CPRの基礎]

 気管挿管は研修医になって一番やりたい、やれるようになりたい手技の一つではないでしょうか。気管にチューブを入れるだけ、ただそれだけのことであり、それをしたからと言って患者さんが激しく助かるというエビデンスはないようです。が、やはり救急外来でも頻繁に行われる処置であり、医者になって26年目になろうとしている私でも、上手く入れば、やったぜ!と思います(^^)。

 気管挿管は、気管に管を入れるだけなのですが、なかなか難しく、気管ではなく食道に入ってしまうことも多いです。これは致死的になり得ますので、ちゃんと気管に入っていることを素早く確認する必要がありますが、なかなか良い方法がありません。レントゲンが一番確実ですが、レントゲンは意外に時間がかかります。放射線技師さんが挿管する場面に同席して、ポータブルの撮影の器械がそばにあればレントゲンを撮るのがいいかも知れませんが、そんな事はまずありません。

 胸の挙がり、聴診等の身体的所見はもちろん行うのですが、これだけでは2割ぐらいは間違えるそうです。食道挿管でも音は聞こえますし、胸が挙がっていなくても、ちゃんと挿管されている場合もあるでしょう。

 その為に、以前は二次確認と言って、器具を使っていました。現在は二次確認という言い方はなくなって、必ず器具も使うべきだという事になっています。

 器具としては、食道挿管検知器、CO2モニター、超音波検査などがあります。どれが良いか分からないので、色々な器具がある訳ですが、今のガイドラインでは、波形表示式の二酸化炭素のモニターが推奨されています。

 日本版の蘇生ガイドライン2015のP.24には、「CPR中の気管チューブの位置確認や連続モニターには、身体所見に加えて、波形表示のある呼気CO2モニターを用いることを推奨する(強い推奨、低いエビデンス)」とあります。

 コーラやビールを飲んでから心肺停止になったら、食道挿管しても二酸化炭素が出てくるので、偽陽性となるのではないかと思いますが、そんなやつおらんやろ〜と言う感じなのでしょうか。

 当院の救急外来でも波形表示呼気二酸化炭素モニターはもちろん使っています。患者さんの安全のために日々努力しています。

ERCのガイドラインを見てみましょう。


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研修医が担当したからこそ救う命があります [研修医教育]

 私が医師になって初めて受け持たせていただいた患者さんの話です。

 その方は直腸癌が後で見つかって、肝転移して、私が医師になって3年目で亡くなりました。私が直腸診さえしていれば、もっとがんこな医者だったら、、、、、、、と言うタラレバ話です。他山の石としていただければ幸いです。

 私が研修医の頃は、4月の第一土日に医師国家試験(プロ野球の開幕と同じでした)があり、5月に発表、6月から研修開始でした。私はローテーション研修がしたくて、研修病院を選びました。同期はおらず、私一人の研修でしたので、まず基礎は内科からと思い、内科研修6ヶ月から始まりました。

 1992年6月1日、初出勤して血液ガスを6人採血させていただいたのですが、全て失敗して落ち込んでいたところに、尿路感染症の70歳ぐらいの女性が入院してきました。私が担当するようにと言われ、初めての受持患者さんですから、結構たくさんお話を聞かせていただきました。抗生物質は何を選ぶのか、他にどんな検査をするのか、何に気をつけて患者さんを診ていけば良いのか?今のように良い本やインターネットがなかったので、色々試行錯誤でした。

 アメリカでは、どんな病気で入院しても、頭から足の先まで全身の診察をしっかりするのが研修医の仕事(直腸診も含めて)と聞いていましたので、私も真似しようと思っていましたが、女性ですし、尿路感染症だから、まあ良いかと言う事で直腸診はしなかったのです。便潜血も陰性でしたし、患者さんも訴えはなかった(本当は症状があったのかも知れませんが)ですので、仕方がないのですが、その患者さんは半年後に直腸癌が見つかり、外科で手術をしたのですが、私が1年後に外科を研修している時に多発肝転移で入院してこられました。

 私が直腸診をしていたら見つかったかどうかは分かりませんが、今でも直腸診さえしていれば、、、、、、、と思います。指導医の先生に、私は何でも勉強したいので直腸診を教えてください!と言えば良かった、、、、、、、

逆によかったこともあります。


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震える舌と言う映画を見ましょう [医学関連]

 渡瀬恒彦さんが3月14日に亡くなられました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 追悼のため出演作品を見ましょうみたいな事が行われています。私が印象に残ったのは「震える舌」という映画です。これは破傷風になった娘さんをモチーフにして書かれた小説を映画化した物です。八つ墓村の監督が作っていますので、ちょっと怖いですが、破傷風の恐ろしさが描かれています。渡瀬恒彦さんはお父さん役で出演されています。最後の方で流す涙のシーンは感動します。

 レンタルビデオ屋さんでも借りられると思いますので、この機会に是非ご覧戴きたいです。

 知りませんでしたが、YouTubeで映画が見られるんですね。こちらのリンクでは300円払えば映画が全部見られるようです。

 この映画をご覧になって、是非破傷風の予防注射を受けることを検討していただけたら嬉しいです。


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医師国家試験に合格したみなさんへ [雑談]

 昨日は医師国家試験の合格発表がありました。新しく医師として歩き始める皆さん、おめでとうございます。残念だった方はまた来年があります。1年ぐらい長い人生たいしたことありません。この一年で人間を豊かにする努力をしましょう。試験に落ちるなんてとても辛いことではありますが、医師として働く前に、医学以外の事を勉強する時間をもらえたんだと思うようにしてはいかがでしょうか。

 さて、こちらのブログをお読みください。今日は超手抜きです!!

 一つだけ。病棟からコールがあったら、「直ぐに行きます!」以外の答えはないと言うことについて付け加えです。看護師さんたちは、研修医であるあなたに連絡するより指導医に連絡した方が良いこともあります。なぜなら直ぐに指示をもらえるからです。

 しかし、研修医であるあなたは、受持患者さんの情報をまずもらえるようにすべきです。先生の受けもちのAさんが発熱しています!と言われたら、えーあの人糖尿病の教育入院で熱が出るはずないのに、、、、、、糖尿病があるから感染しやすいんだし、、、、、どうしよう?とか考えるはずです。この考えるという事があなたを成長させます。これをこれから一生地道に続けることで、あなたの医師としての腕を成長させるのです。

 看護師さんに嫌われて、あなたに情報が行かず、指導医に先に行くとどうなるでしょう?よほど分かっている指導医なら、これは研修医の先生に伝えてもらえませんか?と言うでしょうが、指導医も忙しいので、「確か隣の部屋でインフルエンザが出ているんだよね。じゃあ、インフルエンザの検査をしておいてください。」と言う事になり、折角の考える機会を失ってしまいます。

 別に看護師さんをけなすわけではありませんが、看護師さんたちは問題を解決しなくても、医師が患者さんの所へ出向けば満足する場合も多いです。患者さんも同じです。先生の顔見たら治りましたと言う人は意外にいます。よって、病棟からコールがあったら、返事は一つ。

「はい!今すぐ伺います!!」

 患者さんの所へ入っても何も分からないかも知れません。それは当たり前で看護師さんも期待していません。すぐ指導医に相談して、例えば30分以内に再度連絡します!等と言えば、全く問題ありません。多くのカリスマ指導医の先生は、若い時患者さんの所に誰よりも朝早く行き、看護師さんにも丁寧に対応していたという話を聞きます。

 そして、お気に入りの看護師さんがいれば、途中で飲み物やお菓子でも買っていったり、休みの日であれば、帰りにご飯でも行きませんか?とかすれば、あなたの人生はもっと豊かになるかも知れません、、、、、、、、たぶん。


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看護師さんの名前を呼びましょう [雑談]

 病院の仕事は一人では出来ません。全てチームで行います。指示は医師が出すことが多いです。偉いからではなく、医師はそう言う仕事だからです。

 そして、何か手伝って欲しい時に、「看護師さーん!」と言う医者がいますが、やはり、相手は名前があるわけですから、名前で呼びたいですね。そのためには、普段から覚えようと言う気持がなければ出来ません。名札を見ようとして、胸を見ていると思われないような注意も必要ですが(笑)。

 下の名前を呼びましょうと言う意味ではありません。仲が良ければ、下の名前でも良いですが(^-^)。
私は最大の敬意を込めて、下の名前+「様」をつけて呼んでいます、、、たぶん。

 FBでコメント頂いたのですが、外国では名前を呼ばないと手伝ってくれない場合もあるそうです。

 AHAの講習会のビデオでも、うるさいぐらい名前を呼んでいますね。良いことだと思います。

 同様に、患者さんも、おじいちゃんとかではなく、ちゃんと名前を呼びましょう。最近は少ないとは思いますが。

 入院生活で大事なことは、看護師さんを名前で呼ぶことだと言っていた患者さんもおられるとか。


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大学で何を学ぶか [興味ある本]

 私が高校生の時、加藤諦三さんという心理学者の本を読みました。タイトルは「大学で何を学ぶか」でした。これはとてもいい本で、私は何度も読みました。感動ものでした。

 その中の一つに、ある大学教授が退官する時に、一番悲しいことは何ですか?と聴かれたら、この部屋の窓からの景色が見られなくなることかなあと言ったというエピソードが書かれています。

 つまり、こう言う事です。希望の大学に入れなかったとしても、その置かれた環境で頑張って、もしもう一度大学受験するならば、もう一度この大学に入りたい、そう思えるような大学生活を送るべきだと言うことです。

 医者の場合、今のマッチング制度だと、自分の行きたい病院へ行けない場合もあり、研修先も希望通りにならないこともあります。希望の研修先でなかったとしても、二年後には、俺はこの病院で研修して良かった!と思えるような二年間を是非送っていただきたいです。

 私は、浜松医科大学卒業で、名古屋徳洲会病院で研修しました(当時は総合病院じゃありませんでした)。どちらもとても楽しく充実していました。もし、もう一度選べるのであれば、また同じ大学と研修病院を選びます。

 九州の有名な循環器の先生は、医局の命令で田舎の温泉病院に飛ばされたそうです。普通は、最先端の世界から追い出された、こんな田舎で何が出来るんだと落ち込みます。しかし、そこでへこむことなく、心臓病の人の温泉治療について研究し、それで有名になったそうです。すごいです。

希望通りにならなくても、置かれた環境で自分なりに努力することの大切さを教えてくれた本でした。


大学で何を学ぶか (ベスト新書)

大学で何を学ぶか (ベスト新書)

  • 作者: 加藤 諦三
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2009/05/09
  • メディア: 新書



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見学に来た学生さんの消化管はきれいにして帰ってもらいましょう [研修医教育]

 私が以前勤めていた徳洲会病院では、学生さんが見学に来られると、必ず何人かの医師で飲みに行っていました。病院から飲み代も出ていました。今もそうだと思います。

 なので、学生さんが来たら飲みに行く。反射的にやっていました。

 しかし、今の病院はそう言う雰囲気がないようで、もちろんお金も出ません。が、自分が飲みたいだけですが、個人的に飲みに行っています。将来どんな医者になりたいのか、実習はどんな感想を持ったのか、その他雑談など、学生さんから学ぶこともたくさんあります。もちろん、こちらの本音とか、裏話とかもお話ししますが(^^)。

 嫌だったと言う話はなかなか届かないのかも知れませんが、飲みに連れて行ってもらえてうれしかったと病院のアンケートに感想を書いてくれるみたいで、病院側にそれが知れ渡り、今回飲み会代を病院が出してくれることになりました。

 良かったです(笑)。これからも頑張ります!

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治療を受けるべきか?受けざるべきか? [医学関連]

 ネットなどで、抗がん剤なんて受けるべきじゃないとか、手術なんて受けるものじゃないとか書かれているのを見ることがあります。へえ〜そうなんだ!と思ったあなた。医療は特別なものじゃありません。自分の専門でも良いですし、普通の日常生活に置き換えて考えてみてください。書かれていることを、うのみにしてはいけないことがすぐ分かります。

 私はいつも飛行機に例えて説明しています。

 あなたは1週間の休みをもらいました。あこがれの北海道旅行をしたいと考えました。さあ、あなたはどうやって旅行をしますか?

 色々な対応があると思います。
・飛行機を使う
 お金はかかるかも知れませんが、一番早く着きますから、長い時間北海道にいられます。移動も楽です。ただ、お金はかかるでしょうし、もしかしたら墜落して死ぬかも知れませんし、ハイジャックにあうかもしれません。
・新幹線を使う
 新幹線で行けば、まあまあ早く着くでしょう。でも、飛行機よりは長くかかります。移動時間は座っていなければなりませんから、疲れるかも知れません。事故に遭う可能性ももちろんありますが、飛行機事故よりは助かる可能性が高いかも知れません。北海道にいられる時間は少し減ります。

 他には、鈍行電車を使う、船を使う、車を使う、歩いて行く、そもそも旅行をやめると言う様な方法が考えられます。

 どれも一理あります。どれが正解か分かりません。どれも正しいし、どれも間違っています。良いところ、悪いところを知った上で総合的に決めますよね。が、抗がん剤なんてと言う記事は、北海道旅行を辞めなさいと言っているのと同じです。また抗がん剤はすごい!と言う人は、飛行機は素晴らしいと言うのと同じです。

 多くの医療従事者は、こういった利点や欠点があることを知っていて、患者さんに合うかどうか、自分の施設で提供できるのか?等など色々なことを考えて対応しています。

 ある人には船が良いでしょうし、別の人は新幹線が良い場合があります。それを判断するのが専門家です。単純に決められるものではありません。ネットに書かれた方は、たまたま抗がん剤の不利益が前面に出たのかも知れませんし、手術の不利益が出てしまったのかも知れません。もしかしたら、一般的な例だったのかも知れませんが、それは分かりません。

 一方的な情報に惑わされないように注意しましょう。
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救急車はいつ呼ぶの?今でしょ! [医学関連]

 先日高崎市内の中小企業の偉い方の集まりに呼んでいただいて、講演をしてきました。使用したスライドはこちらですが、動画が動かないようで、申し訳ありません。

 この講演で強調したことの一つは、救急車は必要だと思ったら迷わず呼んでくださいということです。最近、救急車の不適切な利用を控えてくださいと言うキャンペーンがされていて、救急車を呼びにくくなっていると思います。が、このキャンペーンを見て、救急車はあまり呼んじゃいけないんだと思う人は、救急車を呼んでくださっていいです。

 救急車は必要かなあと思ったら、直ぐに呼んでください。119番に電話すると、担当の方はただの電話交換手ではありません。ちゃんと知識のある方々です。説明すれば、それは救急車じゃなくても大丈夫だとか、こう言った応急処置をするといいと教えてくれます。
 よくあるのは、おじいちゃんが倒れると、おばあさんは娘さんやお嫁さんに電話をするんですよね。で、早く救急車呼びなさい!とか、私が救急車呼んであげる!とかで、色々な事情により、救急車が現場に到着する時間が遅くなります。心筋梗塞や脳卒中は特に1分1秒を争って治療をしなければなりませんから、皆さんが迷ったり、誰かに電話している時間はもったいないです。直ちに119番通報してください。

 救急隊の方も、我々救急外来の人間も、何もなかったらそれでよかったね!と思っています。オーバートリアージというのですが、重大なことがあると思ったけれど、何もなかった、、、、、これは問題なしと考えると言う事です。

 例えば、街で前田敦子さんを見かけたとします。「あー!あっちゃーん!!サインしてください!!」と近寄ったら、キンタロー。さんだった。キンタロー。さんのサインをもらって、握手してもらおう!と言う事です。「あっちゃんっぽいけど、キンタロー。さんだろ。あっちゃんじゃないならサインはいらないよ」と思ったら、実はあっちゃんだったら残念じゃないですか???

 救急車の不適切利用とはこんなのです。

・明日の朝9時に救急車をお願いします。
・1年前から腰が痛くて、健康診断をしてもらいたいから、、、
・病院の近くに住んでいる人が、飲んだ帰りに腹痛を訴え救急要請。病院に着いたら治ったからもう良いと言って帰って行った(タクシー代を節約するためでした)。
・電車の中でやくざ屋さんに絡まれそうになったから救急車を呼んだ。

 ビックリしませんか?こんなことで呼ぶ人がいるんですよ。急に胸が痛くなった(恋煩いは除きます)りしたら、どんな軽くても救急車を呼んで大丈夫です。胸痛は危ない病気の可能性が高いですから。


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敗血症診療ガイドラインが出ました [医学関連]

 日本版敗血症診療ガイドライン(ネットでも見られます)が出ました。

 敗血症とは、病原体(主に細菌)によって全身が冒され、死に至ることもある大変な病気です。救急車で来院される患者さんも多いですが、入院中に敗血症になる人もいます。多くの医師が知っておかなければならない病気です。

 が、じゃあ敗血症って何だ?と言われると人によって色々でした。ある人はこれが敗血症だと言いますが、別の人はこれは敗血症じゃないと言っていたのです。よって敗血症にどんな治療をしたら有効か?と言う研究をしても、敗血症の定義が色々だったので、有効だとか違うだとかの結論がなかなか出せませんでした。

 で、偉い先生が集まって1992年に敗血症の定義を発表しました。敗血症は感染によるSIRSだというのです。この定義は最新版では変わっているので覚えなくても良いです。SIRSとはたった四つの項目だけで、それも簡単な項目で定義できます。そして、感染によるとは別に感染が原因じゃないかと医師が思えば良いというとても簡単な定義でした。しかし、それでも例えば敗血症にステロイド剤が有効かどうか?と言う事に関しては結論が出ていません。

 その為でしょうか?最新の定義は「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と言う事になりました。

詳しく見たい方はこちらを。


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