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治療はジレンマとの闘いです。 [研修医教育]

 若い先生やこれから医師を目指そうと思っている方、そして患者さんにも知っていただきたいことです。

 どんな行動も利点と欠点があります。欠点がない行動はあまりないはずです。一説にはナンパは自分のプライドが傷つく以外に欠点はないそうですので、自分のプライドを捨ててしまえば、不利益はありませんが(^^)。

 医療では、利点と欠点が激しくぶつかりあうような事がとても多いです。例えば、呼吸状態が悪い患者さんが運ばれてきます。頻度は分かりませんが、結構な人が血圧が低いです。重症な場合、人工呼吸器をつながなければなりません。人工呼吸器をつなごうとすると、少なくとも二つの介入が血圧を下げやすいです。が、この二つの介入をしないと呼吸状態の改善を得られません。でも血圧が下がっても患者さんには不利益です。

 一つは鎮静剤です。人工呼吸をする場合、一般的には気管挿管と言って気管に管を入れなければなりません。これを入れる処置、あるいは入れた状態はつらいので、意識を落とす必要があります。この意識を落とすために使う鎮静剤が血圧を下げるものが多いです。じゃあ、この鎮静剤を使わないで、患者さんに我慢してもらうべきなのか?と言う事を考えなければなりません。ケタラールという注射があって、これは血圧が上がるようですが、麻薬なので使うための手続きが少し面倒です。

 もうひとつは、人工呼吸そのものです。無理矢理ガスを肺に送り込むという事が血圧を下げます。じゃあ、人工呼吸をしないのか?と言えば、呼吸状態が悪かったらしないわけにはいきません。

 野球でも、ノーアウト一塁なら必ず送りバントかと言えば、今のランナーは足が遅く、バッターはバントが苦手、どちらも選手交代するには早すぎるし、今は1ー0で負けているから、どうしてもランナーを塁に進めたい、送りバントか?それとも打ちに行くか?あるいは四球を待つか?とても難しい判断だと思います。

 教科書には書かれていないことも結構あり、医療の判断はとても難しい場合があると言う事をご理解いただければ幸いです。ネットでこう書いてあったからと言う事で医療が出来れば医師はいりませんから。

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