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上肢の手術でも肺塞栓が起こりえます(肺塞栓その4) [整形外科研修]

 肺塞栓は上肢の手術では起こらないのでは、、、、と思いますよね。

 事実、1990年から2001年に報告された整形外科手術後の症候性肺塞栓血栓症125例の調査では、上肢の手術が原因の物はなかったそうです。よって2004年に出版された「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン(第1版)(メディカルフロントインターナショナルリミテッド)」では低リスクと考えられており、特別な予防対策は必要ないとされていました。

 しかし、2002年以降に上肢の手術後に発生した肺塞栓症が6例報告されているそうです。そのうち1人は死亡されています。

 死亡された1例を含む3例は下肢深部静脈血栓が確認されていますが、残りの3名は不明であり、上肢からの血栓が原因の可能性も否定できません。

 よって、新しいガイドラインでは、上肢の手術でも注意が必要であると記載されています。

 

個人的には、、、


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肺塞栓の予防(その3) [整形外科研修]

 一度始めると、とことん同じ事を追求し、あきるとすぐ忘れてしまいます(BLS-OPコースは忘れられていますね(^.^))。が、まあいいでしょう。

 肺塞栓の続きです。今回は薬剤を、、、、と思ったのですが、やっぱりもう少し薬剤以外を追求します。

 手術体位と言うのもありました。仰臥位が一番静脈還流の点では有利だそうです。が、整形外科では患者さんを横向けにしたりしなければならない場合もあります。脊椎の手術は最も危険の高い体位です(うつぶせになります)。手術は出来るだけ仰臥位で行うのが望ましいです。

 次は前回紹介した下肢の運動についてです。こちらは平井らが詳細に研究していて、以下のような事を行うと、総大腿静脈の血流が2倍以上になるそうです。

 足関節の自動背屈運動
 下腿のマッサージ
 足関節の底屈、背屈、底背屈
 足が輪を描くように動かす
 膝の裏をベッドに押し付ける

 下肢の挙上(15cm)では53%、深呼吸では38%、つま先を振るでは31%血流が増えるそうです。

 手術後はベッド上で足首を動かすだけでも良いと言う事ですね。飛行機の中でも同じです。

 文献 平井正文、岩田博英、温水吉仁ら:深部静脈血栓症予防における運動、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法の臨床応用. 静脈学15:59-66, 2004

弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法の併用はどうなのでしょうか


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関節穿刺の後にお風呂に入って良いか? [整形外科研修]

 注射をした後にお風呂に入って良いですか?とよく聞かれます。私は入って良いと思いますが、ダメという先生もいて色々です。

 同じように関節注射をした後にお風呂に入って良いのでしょうか??

 結論から言えば入って良いです。針穴から細菌が関節の中へ入るという事はありません

 しかし、こちらの資料では、自分が整形外科医であれば、化膿性関節炎になったら自分で治療をするので良いですが、専門医でなければ、もしお風呂に入ったせいで関節炎になったんだと整形外科の先生から非難されれば、、、、、困りますので、1日お風呂に入らなくても対した害はないからとあります。

決断分析で考えてみます。


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今年のイグノーベル賞は、、、 [整形外科研修]

 イグノーベル賞をご存知でしょうか?以前記事にしましたのでご覧下さい。

 医学賞は60年かけて整形外科の発展に貢献する研究をした方に与えられました。60年間毎日関節を鳴らし続けても関節炎にはならないそうです。右は関節を鳴らさず、左だけ毎日鳴らし続けたそうです。でもどちらも関節炎にはなっていない、、、、すごい研究ですね!!

 公衆衛生賞(public health prize)は、緊急時に使えるガスマスクを開発した方に送られました!

 何と!女性用(最近は男性用もあるらしいですから)のブラジャーを半分にしてマスクにすると言うものでした。幸運な事にそばにいたもう一人の方も助けられると言う訳です。
 設計図??も載っています。確かに、、、、一つで二人分です。日本でやっていたら確実に捕まりそうです。

 今年の忘年会でやってみようかな(^.^)。

 でも、変態と思われるリスクが非常に高いです。NNH(Number needed to be thought the Hentai)はきっと1でしょう!!

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肺塞栓の予防(その2) [整形外科研修]

 肺塞栓シリーズその2です。今回は簡単な予防法についてです。肺塞栓発症のリスクが低い患者さんはこれだけでOKです。

 こちらのガイドラインにあります。

(1)早期離床および積極的な運動
 手術は通常痛いものですから,患者さんは何も言われなければベッドの上でじっとしています。しかし、じっとしていると血のかたまりができやすくなります。よって最近は手術当日にも色々な器具をつけたまま歩かされたりします。ICUでも歩かされる事があります。
 他にも良い事が沢山あるので、手術後は早く動くように看護師さんやリハビリのスタッフに言われます。
 しかし、整形外科の患者さん(特に骨盤や下肢の手術後など)は歩く事が禁止されている場合もあります。その場合にはベッドの上で足を動かすだけでも違います。ベッドの上でのリハビリですね。

(2)弾性ストッキング
 女性がはいていいんですか?と聞かれる事がありますが、男性用ストッキングではありません。
 非常に強いもので、はくのが大変です。昔勤めていた病院の病棟の忘年会で、弾性ストッキングはかせゲーム!なるものが行われるぐらいですから、大変です。特に足首を通過させるのが大変です。
 それぐらい強い圧で足をしめるストッキングです。ダイエットに良いかもしれませんが、色が良くありませんからその目的で使う人はいないでしょうね。

(3)間欠的空気圧迫法
 電動マッサージ器のようなもので、足を包んだマット?がふくらんだり,縮んだりして足をマッサージする機械を使います。一度自分の足につけてみましたが、結構気持ちいいです(^_^)。

 手術後はこのような事をして足の中に血液の固まりができないようにしているのです。

 このような事をすると、病院には305点の診療報酬が入ります。1点は通常10円ですので3050円です。1日でではなく、1回の入院につきです。安いと思うか高いと思うか、、、、この会社の家庭用製品が10万円ちょっとしますから、、、、まあ30万円ぐらいでしょうか。100人の人に使ってやっと元が取れますが、1つあればよい訳ではないので、当院は5つぐらいあります。500人でやっと元が取れます。消耗品もありますから、この診療報酬では安いのではないかと思います。

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詳しいデータを知りたい方はこちらを


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術後肺塞栓の予防(その1) [整形外科研修]

 術後肺塞栓と言う怖い合併症があります。これは手術を行い、手術は上手く行ったのですが、手術後に(最初に歩いた時などに多いようです)血の塊が肺に詰まって死亡する事もある病気です。整形外科の手術だけでなく、全ての手術、そして手術とは関係なくても起こりえます。

 多くは足の静脈内に出来た血液の塊が肺に飛ぶ事によって起こります。つまり下肢の血液のうっ滞(渋滞すると言う意味ですね)が原因です。下肢の血流は、下肢の筋肉が動く事によって起こりますので、足を動かさないでいると危険が高いと言う事です。
 手術中や手術後に足を動かさない(ベッド上安静)のが悪いとされています。飛行機に乗った時に起こるエコノミークラス症候群と同じものです。

 これは予防する事が重要です。色々な所に資料があります。研修医の先生と調べたので、少しずつ紹介します。

 今回はリスク評価です。肺塞栓の危険がどれぐらいあるかを評価し、危険が低い人は簡単な予防で、高い人は薬などを使いましょうとされています。

 「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」と言うのが出ています。ダイジェスト版がこちらで見られます。

 整形外科の所によれば、下肢ギプス包帯固定をされている人は危険が高いと考えられます。整形外科の患者さんには多いですね。こちらによれば、股関節全置換術、膝全置換術と股関節手術は抗凝固治療が必要ですが、それ以外の手術では薬以外の予防で良いとされています。

 英語のガイドライン(http://chestjournal.chestpubs.org/content/133/6_suppl/381S.full#sec-73)もありますので読んでみて下さい。

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股関節は外れないように出来ています [整形外科研修]

 知っている人にとっては、何だこんな事も知らなかったのか、、、、と言うシリーズですが。

 骨盤骨折の時に下肢の牽引が必要な理由

 股関節の脱臼が少ない理由

 ご存知でしたか??

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手袋を二枚重ねることは有用か? [整形外科研修]

 先日大腿骨頭置換術の手術がありました。大腿骨頭を人工のものに丸ごと取り換えるのです。

 すごい手術ですが、その時に手術用の手袋を2枚つけるように言われました。手袋に穴が開いたら大変だからと言うことです。

 ちょっと調べてみました。ガイドラインによれば、大腿骨頭や膝の人工関節手術において、手袋に穴が開くことは、術後感染の危険因子と証明されているそうです。

 二重に手袋をすることは、明らかに感染を減らす訳ではないが、術者への感染、潜在的手術部感染のリスクを考えると、

 手袋は二重にすることが奨められます。

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イソジンドレープは有効かもしれません。 [整形外科研修]

 ドレープ(drape)という物があります。手術を行う時に、薄いビニールシートみたいなのを貼って、その上から皮膚を切って手術を行うというものです。学生の時に友人達と、「ドレープってどれ〜?」みたいな冗談を言いあっていたことを思い出します(医学生ってバカですね(^.^))。

 手術前に皮膚を消毒しますが、時間が経つと皮膚の中(毛穴や汗腺から)から細菌が出てきます。私の専門の消化器外科では多少の細菌は問題ありません(消化管の中は汚いですから)。腹膜炎の手術なんか、消毒がいるのだろうか???と思うぐらいです。お腹の中の方が汚くなっている訳ですから。

 が、整形外科や脳外科、心臓血管外科など普通細菌のいないところの手術をする科では重要です。皮膚からの細菌も問題となります。よってシートをはって、その細菌が術野に出てこないようにする必要があります。それを行うための道具?がドレープです(でも皮膚を切ったところから少しはがれてきちゃいますが)。もちろん使い捨てです。

 そのドレープにはイソジンという消毒薬を含ませたものがあります(色も少し黄色っぽいです)。これがよく使われていますが、役に立っているのでしょうか??

 ガイドラインによれば、有用である可能性があるということです。

 もとになった論文は以下のたった一つです。

Clin Orthop Relat Res. 1988 Mar;(228):307-8.
Retrospective evaluation of an iodophor-incorporated antimicrobial plastic adhesive wound drape.
Ritter MA, Campbell ED.

The incidence of postoperative wound infection following the use of an iodophor-incorporated adhesive wound drape with a preliminary one-minute alcohol cleanse was observed in 649 total arthroplasties. The patients were followed for a minimum of one year to detect signs of infection. An infection rate of 0.46% was comparable to the incidence previously observed for conventional methods using an iodine spray as a skin preparation.

PMID: 3342583

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胃潰瘍と骨粗鬆症 [整形外科研修]

 今回は珍しくアカデミックな話を、、、、

 PPI(proton pump inhibitor:ピーピーアイ)と言う薬があります。これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎といった胃酸が関係する病気の治療薬です。最も効果のあるものの一つです。
 胃酸は細胞膜にあるプロトンポンプというのが分泌します。胃酸分泌の最終段階をブロックするので強力な胃酸分泌阻害作用があるのです。

 今回はその薬と骨折の関係についてお話しましょう。

 骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気を骨粗しょう症と呼びます。これは、薬の副作用として起こる場合もあり、それを薬剤性骨粗鬆症と言います。原因となる薬剤として、以下のようなものが有名です。

 ステロイド
 メソトレキサート
 ヘパリン製剤
 ワーファリン
 抗てんかん薬
 リチウム製剤
 タモキシフェン
 アロマターゼ阻害薬
 性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬
 アロマターゼ阻害薬

 その他に、最初にお話したPPIも骨が折れやすくなるという報告があります。2006年にYangらが報告しています(JAMA 296:2947:2006、なんと全文が無料で読めます)。PPI長期投与により、大腿骨頚部骨折のリスクが1年で1.22倍、4年で1.59倍になるとのことです。また、1日1.75錠以上飲んでいると2.65倍になるということです。
 しかし、この論文には色々問題点が指摘されています。例えば、1000例中1.8だったものが4に増えたといっても、、、、増えたといえるのか??と言う点です。0.18%が0.4%になったということで、NNHにすると1÷(0.004−0.0018)=251程度であり、PPIを飲んでいる人250人のうち1人がPPIを飲んでいるために骨折するということで、あまり意味がありません。他にもデータに問題があることが指摘されています。

 Kayeらが2008年に同じデータベースを用いて、データをきちんと分類して再検討した(Pharmacotherapy28:951:2008)ら差は認めませんでした。

 また、Yuらによれば(Calcif tissue int 83:251:2008)、大腿骨骨折は増えないが、女性とカルシウム補給をしていない男性では、非椎体の骨折が増えるとされています。

 また、PPIを服用する患者さんは、もともと骨密度が低い人が多いそうです。

しかし、理論上は骨粗鬆症となる可能性があります。


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