So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

どんな資源にも限りがあります。セファゾリンの供給不足について。 [医学関連]

 セファゾリンという点滴の抗菌薬が使えなくなっています。

 理由は色々ですが、原料となる薬を作っている会社が、その原料となる薬、原薬を作らなくなったのが大きな原因のようです。私も知りませんでしたが、多くの薬は原薬という物をどこかから(外国の会社が多いようです)買って作る事が多いんだそうです。そして、その原薬を作っている会社はそれほど数が多くなく、その会社が作るのを辞めてしまうと、世界中の国が困るという事です。

 他の理由としては、セファゾリンという抗菌薬をいくら売っても、もうけがあまりないのだそうで、そう言う薬を私企業が売り続けるかと言えば、、、、、、、

 セファゾリンという抗菌薬は私が生まれて初めて処方した薬です。最も基本的な薬の一つで、日本中で相当沢山の量が使われています。

 そのセファゾリンが手に入らなくなるとしたら、一体どうなるのか?と言うことを今回は書いておきます。

 点滴の抗菌薬が必要だと判断し、セファゾリンが良いだろうと考えても、セファゾリンが使えなかったら、別の薬になりますよね。当然ですが、別の薬も突然沢山の注文が入れば、製造が追いつきません。多くの抗菌薬がなかなか手に入らなくなっているのだそうです。点滴がダメなら飲み薬でもないよりは、、、、、、と言うことになり、飲み薬の抗菌薬も使えなくなるかも知れません。

 よって、セファゾリンの供給が再開するまでの最低ここ数ヶ月は抗菌薬の使用が制限される事になります。普段抗菌薬の適正化に興味がない医師であっても、興味を持って、必要ない人への抗菌薬投与は控えざるを得ない状態になったのです。

 つまりこういう事です。

 「風邪をひいてしまいました。いつもの抗生物質をお願いします」と言っても、出してもらえなくなります。

 「いつも出してくれたじゃないですか!」と言っても、「もともと無意味だったし、今抗菌薬が手に入りにくい状態なんだよね、、、、、、」と言われるかも知れません。

 医師は患者さんの言うことを鵜呑みにしているわけではありません。常に耐性菌のこととか、こう言った有限な資源の有効活用について考えているのです。

 セファゾリンの供給が停止したことは、多くの患者さんに不利益が及ぶ可能性もありますが、もっと多くの患者さんに不利益を及ぼす可能性がある抗菌薬の不適切使用について、多くの人が考えるきっかけになって良かったのかも知れません、、、、、、、と誰かが言っていました。

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

脂肪乳剤を投与する場合単独ルートでなければならないのか? [研修医教育]

 久しぶりの投稿です。以前もこの話題を書いた気もしますが、何度でも書きます。

 いつものように結論から。脂肪乳剤は側管から投与しても大丈夫です。ただし、添付文書には違反することだけ注意が必要です(と言っても知っておくだけで良いです)。

 脂肪乳剤は、末梢静脈からも投与できる上、カロリーが1g当たり最も高く、その上炭素が少ないので二酸化炭素の排出量が少なくなり、動脈血二酸化炭素分圧が下がる可能性があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人にも有用です。浸透圧も等張であり、静脈炎の治療にも使えます(とされているのですが、静脈炎を起こす人もいます)。

 とても有用な輸液製剤なのですが、イントラリポスの添付文書には以下のようにあります。

 本剤に他の薬剤を混合しないこと

 この記載によって、イントラリポスを点滴する場合には、ルートをもうひとつ確保する必要が出てきます。私が知っている範囲ではありますが、ほぼ全ての病院で、薬剤師さんが看護師さんに「点滴ルートをもう一本確保して投与してください」と言いますので、患者さんの腕には針が二つ刺されることになります。

 しかし、患者さんの立場に立てば、何で点滴がすでに入っているのに、抗菌薬とかはその点滴の横から(これを側管と言います)入れてくれるのに、どうしてこの白い点滴もそうしてくれないのか?と思いますよね。
 看護師さんも、エーあの患者さん血管が細くて、やっと入ったのに、また点滴取るの?と思うかも知れません。

 薬剤師さんは、このようなことを知っているでしょうか??それでも単独ルートで行かなければならないのでしょうか?いやこの薬はCV入れてくださいという人がいますが、CV入れるってどんなことか知ってますか??本当にCVじゃないとダメなんですか??添付文書に書いてありますと言う返答が薬剤師として患者さんのためになっていますか?

 おっと横道にそれてしまいました。

 詳細に勉強したい方は、こちらの文献をご覧ください。

文献を読む時間がない方はこちらを。


nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

急に血圧が上がると脳梗塞を起こしやすいのか? [医学関連]

 このブログでもよく取り上げていますが、患者さんの血圧が高くなると心配になる人が多いです。例えば、昼は血圧が130ぐらいだったのが、夜に測ったら200あったとします。心配だから診て欲しいと看護師さんから連絡があったり、患者さんが受診したいと電話してきたりします。

 しかし、血圧が高いだけであれば、少なくともその日の夜は問題ありません。血圧が長期間(何週間も)のは問題となる恐れがありますが、今だけ高いのは問題ありません。

 例えば、脳卒中を起こすのではないか?と言う不安が出てきますが、例えばこちらのリンクをお読みください。こちらには、血圧が上がったために脳梗塞を起こすと言う証拠はないと書かれています。
 もちろんですが、起こさないと言うエビデンスもないのですが。現在のところ血圧が高いだけで大きな問題になる事はありませんので、血圧を下げる事もしません。

 そもその夜中に血圧を測る事さえしなければ、、、、、、、、と当直の時には思います。が、御心配であればいつでも御相談ください。

 また、息が苦しくて血圧が高いとか、頭が痛くて血圧が高いとか、そういう場合には緊急受診が必要ですので、その場合にも遠慮なく病院を受診してくださいね。

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

4月1日から転勤しました。 [雑談]

 しばらく更新しておりませんでした。最近は更新する方がまれになってしまいましたが、この度古巣の病院に戻ることになりました。それに伴ってブログのタイトルも変更しました。

 今日は短いですが、皆様今後もよろしくお願いします。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

意識がないのか?反応がないのか?それが問題かも? [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会では、倒れている人を見つけたら、まず最初に「反応の確認」を行いましょうと教えています。現場の安全確認が最初だよ!とおっしゃる方がおられれば、二番目に行うのが「反応の確認」だと言うことになります。

 一般的に、両肩を軽く叩きながら「大丈夫ですか?」と声をかけます。そして返事がない、身体が動かない場合に、「反応がない」と判断するのですが、、、、、、、

 ほぼ間違いなく、インストラクターと受講生の方の何人かが、「反応がない!」ではなく「意識がない!」と言うのです。意識は色々な事をして評価をしますので、呼びかけて肩を叩くだけでは意識の評価は出来ません。簡便的に一桁とか二桁とか、三桁とか評価する事はありますが、その場合でも、意識がないのではなく、「意識レベルは二桁です!」等と言います。よって、心肺蘇生の場合には、意識がないのではなく、「反応がない」のです。

 まあ、どちらでもその後の行動に変化はないので、スルーする事も多いのですが、インストラクターの方は是非、意識がないのではなく、「反応がない」のだと言うことを覚えておきたいですね。

 ちなみにですが、「意識がない」と言う言葉は、医学用語としても正確ではありません。意識はあるなしと言う定性的なものではなく、1ー10とかの定量的な物です。「意識障害がある」「意識清明ではない」と言うのなら正確ですがね。

最初に脈を見ないのは何故?


nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

何故、心静止やPEA(無脈性電気活動)に電気ショックをしてはいけないのか? [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会では、電気ショックを行うことも習います。電気ショックは適応を良く考えて、心室細動のような揺れる波形、無脈性心室頻拍の場合にのみ行うのですよ。心静止やPEA(無脈性電気活動)では行ってはいけませんよ!と言われます。

 その理由を明確にご存じでしょうか??私はいつも、以下のようにお話ししています。

・電気ショックは非常に痛い。
・痛みは強い副交感神経刺激になる
・副交感神経は心臓を抑える働きがある。
・よって、心拍再開を妨げる。

 これは以前ある先生から伺って、いつもお話ししていながら、根拠はどこかに載っていないかな〜と思っていたのですが、やっと記載を見つけました!

 「心静止、無脈性電気活動に対する非同期電気ショックは心筋にダメージを与えるのみならず、副交感神経を興奮させ心拍再開の可能性を減らすため、適応外となる。」(救急診療指針第5版、P.133)

 私は、ある理由からこの救急診療指針を何度も見ているのに、今まで気付かなかったという、、、、、、ホント、ただ見ているだけなのかも知れません。seeではなく、watchしなければ!


救急診療指針

救急診療指針

  • 作者: 日本救急医学会専門医認定委員会
  • 出版社/メーカー: へるす出版
  • 発売日: 2018/05/01
  • メディア: 大型本



VFやpulseless VTは何故良いの?


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

不適切問題は是非出題者からの解説をお願いします。 [看護師さんへ]

 今年の看護師さんの国家試験の問題で議論になっている問題があります。

 呼びかけに反応のない患者に対し、医療従事者が行う一次救命処置(BLS)で最も優先するものはどれか。

1.気道確保
2.胸骨圧迫
3.人工呼吸
4.除細動

 個人的には、除細動は電気ショックによって得たいことなので、電気ショックとしていただきたかったですが、まあ、これも除細動を得ることを優先するんだと言われば、、、、、まあ、用語はこだわるときりがないのでいいですかね。
 色んな人の議論を見ていると、とても勉強になりますが、例えばAHAのガイドラインに従うなら胸骨圧迫だとか、いやそれなら頚動脈を触れないと!とか、いやここは日本だからJRCのガイドラインに従って気道確保すべきだとか色々ありますが、個人的には「人を集める」という選択肢を入れ忘れただけなのではないかと思います。いや安全確認が最初でしょ!とか、呼びかけに反応がないというのは、近づいていって呼びかけたのだろうから、「両肩を叩いてみる」が正解でしょう!とか、これ答え本当に難しいですよ。

 それはおいておいて、一般的に、試験の不適切問題はたぶんなくなりません。人は誰でも間違えます。不適切問題だったら全員正解にすればいいのです。そして、こう言う事を問いたかったのだが、、、、、、と発表すれば良いのです。大学の入学試験などは誰かを落とさざるを得ませんが、資格試験は一定のレベルに達していればいい訳ですし、そもそも、それを知っておいて欲しい、知っていて当たり前でしょ!と言う知識のはずですから、問題の答えも公開すべきですし、出来れば解説も公開していただきたいです。

 日本救急医学会の専門医試験も、例えば昨年9月に行われた試験では、100問出題されたはずですが、97問しか公開されていません。このようなことは数年に一度あって、仕方ないと思います。

 大切なことは、以下のようなことだと思います。まずは不適切問題を出してしまい申し訳ないと言う謝罪の言葉、そして、、、、、、、

 このような問題を出題したのだが、正解率が異常に低かった。しかし、是非多くの人に知っておいてもらいたいので、解説します。
 このような問題を出題したのだが、解釈が幾通りも出来る表現で、不適切問題とした。出題者としてはこう言う意図であった。
 このような問題を出題したのだが、ミスプリのため選択肢に答えがなかったので不適切問題とした。正しい選択肢はこれである。

 最近の救急医学会の専門医試験問題では、「○○のガイドライン2015によれば」などと書かれています。これなら、日本のガイドラインだ、いや日本のはダメだからアメリカのガイドラインを!って事にはなりませんね。

 ちなみに、試験問題の質はこちらのページに記載されたような指標を用いるそうです。


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

さっさとゾフルーザ出せや!と言われた時に医者が考えていること [医学関連]

 そろそろインフルエンザもピークを過ぎたと言われているようですが、まだまだインフルエンザにかかる方はおられます。そしてソフルーザという新薬の記事は世の中にあふれています。きっと患者さんはインフルエンザと診断されたら、このゾフルーザという薬を出してもらえると信じて病院を受診するのだと思います。しかし、処方しない医師もいますし、そもそもゾフルーザを採用していない(病院に置いてない)病院もあります。何故こんなことが起こるのか、医師側の本音を書いてみます。患者さんの気持ちに寄り添うのはもちろん大切ですが、医師は何を考えて日々働いているのかを是非知ってください。

 たまには、患者さん側から医師の気持ちに少しでも寄り添って頂ければ嬉しいです。

 インフルエンザの患者さんに治療が必要かどうか?と言う事も今まで何度か書いてきましたが、ここではそれについては述べません。なぜなら長くなるからです。

 と言う事で、熱が出て喉が痛くて病院を受診したところ、、、、、、

 イケメン医師 「インフルエンザの可能性が高いですね。」
 患者 「今話題のゾフルーザという薬を出してもらえるのですね!」
 イケメン医師 「いえ、タミフルが良いと思いますので、タミフルをお出しします。5日間朝晩1錠ずつ飲んでくださいね。そして、熱が下がってから二日以上は出来るだけ外出は控えてください。もちろん会社に行ってはいけません。」
 豹変した患者 「何だって!何でゾフルーザ出さへんのや!!」

 患者さんは申し訳ないですが、たぶん自分のことしか考えていません。もちろん、それで良いです。ゾフルーザの方が早く熱が下がると聞いているし、1回飲んだだけで良いと聞いている。良いことばかりじゃないか!早く熱が下がれば楽になるし、仕事にも早く行けるじゃないか!!

 しかし、医師はそれも大切だとは認識しつつも、別のことも考えています。

まず医師法から。


nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

電解質をオーダーしたら、NaからCLを引いてみましょう。 [研修医教育]

 最近RCPCに凝っています。以下の本を買ったのがきっかけです。この著者の先生面白いです。一度お会いしてみたいなと思いました。





 RCPCとはこちらの自治医科大学のサイトによれば、「症状や診察所見の情報のない状況で、臨床検査データをもとに、症例の病態を推定しつつ討論することをRCPC(Reversed Clinico-Pathological Conference)
といいます。データから症状や診察所見を推測するという、通常のCPCとは逆方向であることからReversedと冠されています。」とのことです。つまり検査データだけを見て、この患者さんはどんな状態だったのか?を予測するということです。推理小説みたいで面白いです。

 さて、ある雑誌を読んでいるのですが、Na-CLについて強調されていました。

 救急外来では気軽に血液ガスをとることが出来ますが、小児だったり、入院患者さんだったりすると少し敷居が高いかも知れません。しかし、採血で電解質は頻繁にチェックされていると思いますので、Na-CLを計算するだけで、血液ガスをとるべきだという理由になります。

 NaーCLの正常値は30-40程度だそうです。うーん覚えるのが難しいなあ?と言う人は、病院の飲み会などで話しやすい看護師さんの年齢と考えてください(たぶん)。20代の人は私にとってはもう宇宙人みたいですから、、、、、、、、で40歳を超えていると、、、、、、、、これ以上は言えません(^^)。

 まじめに書くと、アニオンギャップ(Anion Gap、以下AG)は以下のように計算されます。

AG=Naー(CL+HCO3)

 よって、変形すると以下のようになります。

NaーCL=AG+HCO3

 AGは12、HCO3は24が正常値(AGは小学生、HCO3はOLの年齢と覚えると良いかも知れません)なので、36前後が正常値となります。

解釈はどうするの???


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

救急救命士さんに興味を持ってください [救急救命士について理解を!]

 救急救命士は平成3年に法律が出来て、すでに28年の時が経っています。その制定には現神奈川県知事の黒岩さん(当時フジテレビのキャスター)が大きな影響を与えた事は御存知でしょうか?彼が書かれた文章を是非御一読ください。

 色々興味深い内容ですが、この文章は22年ぐらい前に書かれた物です。22年前ですよ。そのことを踏まえて以下の部分をごらんください。

「果たして,救急救命士は一般市民の信頼感を十分に得ているといえるだろうか。そもそも今の救急救命士が実際にどれだけの貢献をしているのか,一般の人はほとんど知らないのではないか。少なくとも今の消防には,救急救命士の活躍ぶりを世間に向けてどんどんアピールしようというような意欲は感じられない。そういう状況で救急救命士のレベルアップを訴えたところで,世論の共感を得られるとは思えないのである。」

「私がかつて取材したアメリカのパラメディックは,ドクターら医療スタッフと日頃から顔の見えるつきあいをしていた。そこで生まれる信頼感が緊急時の連携プレーにつながっているようであった。果たして救急救命士はドクターたちとそういう関係を築き上げているだろうか。」

 今日の新聞の記事だと言ってもおかしくないような文章です。救急の医師はわりと救急隊の方とのコミュニケーションがとれているとは思いますが、、、、、、、、

 先日あったように救急隊の人がコンビニによっていたと言って批判が出たりするような日本はどうなのでしょうか?救急隊の方々の努力も足りないかもしれませんが、国民の理解が足りていない気がします。是非興味を持って色々と知っていただければうれしいです。

 山Pに救急救命士のドラマをやってもらうのが一番いいのかもしれませんね。

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:学問
前の10件 | -

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。