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死戦期呼吸 [CPRの基礎]

 死戦期呼吸と言う言葉を聞いた事があるでしょうか?あえぎ呼吸とも言われています。英語ではagonal gaspingとかagonal breathingと言われています。下顎呼吸と呼ばれる事もあります。

 ほ乳類では、生下時と死亡時に低酸素状態となると出現します。通常生まれたばかりの子供は病院で管理されていますので、あまり関わる事はないでしょう。しかし、亡くなりそうな人の場合には良く遭遇します。我々医師が患者さんの死亡宣告をする場合に、早すぎるとトラブルとなるからゆっくりと、、、、と言うのは、この死戦期呼吸があるからです(詳しく知りたい方は別記事を参照して下さい)。

 この死戦期呼吸を正常の呼吸と区別するのは難しく、心肺停止になっているのに呼吸をしているから心肺蘇生は必要ないと判断されてしまうのが問題です。教科書的に言えば、死戦期呼吸は不規則で、多くの筋肉を使って(体が大きく動く)大きく急激な吸気が行われるそうです。正常な呼吸は規則的であり、横隔膜と肋骨の間の筋肉を使って行われます。 知りませんでしたが、動物実験ではほぼ100%に出現し、実際の診療場面では40%程度で出現するそうです。ある研究では心停止患者のおよそ3分の1で4分間以上続いたそうです。

 死戦期呼吸は生体防御としての意義があるそうで、血液中にかなりの酸素を取り込み、かなりの血液を送り出すのだそうです。よって、死戦期呼吸が認められた患者さんの方が助かる確率が高く、何と3倍もの高い生存退院率があったそうです。

 ガイドライン2005のP.28には「散発性の喘ぎ呼吸がみられる傷病者は呼吸をしていない傷病者と同様に処置し(クラスI)、人工呼吸を行う」と書かれていますので、間違えないようにしましょう!

 これほど重要な死戦期呼吸ですが、、、、医学生にビデオを見せて調べた所、31%の学生が正常な呼吸と判断し、正しい処置(人工呼吸ですね)を解答できた者は8%しかいなかったそうです。しっかりと死戦期呼吸に対して講習を受ければ75%の人が認識できたと言うデータもあるようで、是非多くの人に死戦期呼吸について知ってもらう必要がありそうです。
 ガイドライン2005P.28には「CPRの訓練では、散発性の喘ぎ呼吸の見分け方に重点を置く必要があり、反応のない傷病者に散発性の喘ぎ呼吸がみられた場合は、まず人工呼吸を行い、それから次の手順に進むよう指導すべきである(クラスIIa)」とありますが、クラスIじゃないんですね。

 この記事は、救急医学31巻、2007年、P.997-1000の「死戦期呼吸」(鈴木昌著)を参考にしました。
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ひまわり

SpO2が42という数値はどういう状態を言うのですか?
生きているのでしょうか?
by ひまわり (2014-02-17 19:42) 

Kim

ひまわりさん、コメントありがとうございます。

ひまわりさんが全くの素人だとしてお話しします。

Sは飽和度でsaturationの略です。pはパルスオキシメーターという器械で測ったと言う意味です。O2は酸素です。

パルスオキシメーターは、SaO2(aは動脈血)を簡単に測れる器械です。

つまりSpO2はSaO2とほぼ同じです。SaO2が40%と言うのは、血液に存在するヘモグロビンという酸素を結合するタンパク質の40%にしか酸素がくっついていないと言うことです(実際は一つのタンパク質に4つ席があって、その席が40%しか埋まっていないと言う意味です)。

生きていることとSaO2との関係は直接はありません。が、SaO2が40%と言うのはかなり低い値で、この状態が続けば生きていくことは難しいでしょう。

また、SpO2が42%と言うのは、本当にそうかという事も大切です。SpO2は測定している部位の血流が拍動していて、その拍動している部分は全て動脈血であるという前提で測っています。静脈の圧が高くて、静脈も拍動していれば当然低下しますし、心肺停止中など、その部分に血流がほとんど行っていない場合には、低くなったり、逆に高くなったりします。

by Kim (2014-02-17 22:35) 

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