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大量出血したら、赤血球輸血をするだけでいいのか? [医学関連]

 大量出血は、真っ赤な血が出てくるので見た目も派手で、ドラマや映画でも良く出てきます。出血の対応を学ぶことは医師としての基本中の基本です。

 しかし、誤解も多く存在しています。例えば、今回のタイトルです。

 出血した場合、出た分の血液をそのまま入れたら良いんじゃないのか?と思いますが、そうではありません。動物実験では、血液を大量に抜いて出血性ショックにさせた場合、そのまま抜いた血液を返してもほとんどは死んでしまうそうです。しかし、同時に乳酸リンゲル液などを投与し、その量を出血量の3ー4倍程度にすると最も死亡率が低いとされています。理由は色々複雑なようですが、とにかく出血した場合には、血液だけを入れたら良いと言うわけではないのです。

 また、現在の輸血製剤は、全血と言う血液そのものを使うことは少なく、成分製剤を使います。献血で得られた貴重な血液を、有効利用するためです。

 輸血製剤でよく使われる物の一つに赤血球輸血製剤があります。今回のテーマは、これを入れると循環血液量がどのぐらい補充できるのか?と言うことです。先に白状しておきますが、以下の雑誌のP.286に書いてあった事を紹介するだけです(^^)。




 赤血球液(昔は?濃厚赤血球液などと言っていましたが、現在は赤血球液と言う名前になっているのですね)は、添付文書によれば、以下のような製剤です。

「血液保存液(CPD液)を28mL又は56mL混合したヒト血液200mL又は400mLから白血球及び血漿の大部分を除去した赤血球層に赤血球保存用添加液(MAP液)をそれぞれ約46mL、約92mL混和したもの」

 簡単にかつ極論的に言えば、赤血球を入れる製剤であって、血液ではないと言うことです。添加されるCPD液やMAP液に血漿増量効果はなく、文献が見つからないと記載されていますが、赤血球液を140ml(200mlの血液由来の赤血球液は140mlだそうです)入れても、140mlの循環血液量が増えるとは考えられないとのことでした。

 よって、大量出血時には赤血球液だけではダメで、他に循環血液量が増えるような製剤、一般的には生理食塩水や乳酸リンゲル液などの細胞外液補充液やアルブミンなどを入れるべきだと言うことです。

 逆に言えば、貧血を合併しているうっ血性心不全などの場合には、安心して輸血を入れられると言う事です。

 大量出血時に重要なことは、順番に以下の通りです。
(1)循環液量(血液量ではない)
(2)酸素運搬能
(3)膠質浸透圧

 これらを治療するには、以下のことを行います。そして重要度は順番通りです。
(1)止血、細胞外液補充液
(2)赤血球輸血、酸素投与、循環管理
(3)アルブミンや新鮮凍結血漿など

 よって、大量出血の患者さんを診たら、直ちに行うことは、止血と同時に、大量の細胞外液補充液の点滴と酸素投与です。まず輸血、まずアルブミンじゃありません。


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