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心肺蘇生のガイドラインが少し変わりました。リドカインの復活です! [CPRの基礎]

 心肺蘇生のガイドラインは、ここ最近は(2000年以降)5年ごとに新しいガイドラインが出されていて、現在一番新しい物は2015年度版のガイドラインです。次は2020年になるわけですが、待ちきれない?人のために2018年度版が出ましたので、何回かに分けてご紹介します。

 手っ取り早く知りたい方は、こちらの日本語英語の要約をご覧ください。
 詳しく知りたい方は原文を是非お読みください。

 今回はリドカインについてです。

 リドカインは私が研修医の頃の1992年度ガイドライン(と言う言い方ではありませんでしたが)では、心室細動では電気ショックを三回し、次はアドレナリンを使ってからショック、ブレチリウムを使ってからショック、そしてリドカインを使ってからショックでした。
 これを、ショック、ショック、ショック、エブリバディショック、ビックショック、リトルショックと覚えました。
 エブリバディはエピネフリンのE(当時は日本でもアドレナリンではなく、エピネフリンでした)、ビックはブレチリウムのB、リトルはリドカインのLでした。

 しかし、いつからか、リドカインの推奨度はだんだん下がり、ついに2015年ガイドラインでは第一選択から消失してしまいました。

 しかし、2020年のガイドラインでは復活するのでしょう!おめでとうございます!!

 どうしてリドカインをわざわざ復活させるのでしょうか???私が考えた理由を以下に書いてみます。違っていたら教えてください。

・アミオダロンは半減期が長い
 アミオダロンの半減期は相当長いです。アミオダロンの半減期は内服薬だと一ヶ月以上です。アミオダロンは甲状腺機能に異常が出たり、肺線維症を起こしたりと、重い副作用が結構あります。よって、半減期が長いのはちょっと困ります。半減期が長いと副作用も治しにくいでしょう。よって、循環器内科の先生によっては、救急外来で勝手に使うと怒る人もいます。命が優先されますから、救急外来で使って良い薬とされてはいるのですが、副作用に苦しむのは患者さんと循環器の先生にになりますので。

・アミオダロンは保存が面倒である
 以前のアミオダロンの注射薬(アンカロン)は冷所保存でした。現在は室温保存でも良い薬があるようですが、アンカロンを採用している病院では、アンカロンを冷蔵庫で保管しなければなりません。また劇薬に指定されていますので、アミオダロンだけの棚(箱を作っても良いみたいですが)を作って保管が必要です。

・日本にあるアミオダロンは血圧低下の可能性がある
 アメリカにはすでに改良された注射薬があるようですが、日本に入っているアミオダロンは血圧が下がる成分が含まれているようです。心肺停止の時に血圧が下がるような成分を入れたくはないですよね。

・アミオダロンは生理食塩水で薄めてはいけない
 アミオダロンはワンショット静注しても良いのでしょうが、添付文書には、20mlに薄めて静注か100mlに薄めて点滴静注とあります。この場合、生理食塩水を用いると沈殿を生じるためブドウ糖しかダメです。通常薬を薄める時には生理食塩水を使います。アミオダロンを使う時に、あれ?ブドウ糖じゃないとダメなんだっけ?と考えなければならないのは少し面倒です。まあ、そのぐらい覚えろよ!と言われればそうなんですがね。
 逆に救急外来で薬を溶かす時には、全てブドウ糖で溶かすことにすればいいのかも知れませんが。

・アミオダロンは高価である
 静注用キシロカイン(リドカインの製品名です)1本(100mg)は151円です。心室細動で使う量は1.5mg/kgなので、50kgの人だと75mgで100mgあれば足ります。アンカロンは150mgで3154円です。心室細動では300mg使いますので、6308円です。日本はいい国なので、お金のことは気にしなくても良いのかも知れませんが。

 と言うようなことがあるので、アミオダロンは使いにくいのではないでしょうか?リドカインには上記のような事はありません。半減期は短い(約2時間)ですし、大きな副作用もありません。保管は常温でどこに保管しても良いですし、生理食塩水で薄めて良いですし、値段も安いです。ただ、静注用と点滴用がありますので、投与量を間違えないような注意が必要ですがね。

 最後に付け加えておきますが、これらの抗不整脈薬は激しく患者さんの生存率を高めるわけではありません。元気に退院できるかどうか?と言う点では、有用だという証拠はありません。心拍再開してICUに入る確率を高めるだけです。それは意味がないと言えばそうですし、家族が数日でも患者さんのそばで看病できるという点では有用です。
 アドレナリンも同様です。大切なのは早期発見、早期CPR、早期電気ショックです。


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