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心停止ではない人に胸骨圧迫をしてもいいのか? [CPRの基礎]

 心肺蘇生の話をする時、まず心停止かどうかを判断しましょうとお伝えします。しかし、実際のところ、心停止かどうかを判断するのは、女性の気持ちを考えるのと同じぐらい難しいことです。

 よって、確実にこの人は心臓が動いている!と判断された場合以外は、心肺蘇生をしていいです。と言うか、すべきです。確実に女性が喜んでいると判断された場合以外は、色々と気を遣った方が良いのと同じです。

 心停止だった場合に、そばにいた人が直ちに心肺蘇生をしなければ、その人はほぼ100%死んでしまいます。しかし、心停止でなかった場合、大きな不利益はないのです。どちらを選ぶかは明らかではないでしょうか?

 お前の意見なんて聞きたくない!と言う方は、以下をご覧ください。

 日本蘇生協議会のガイドライン2015のP.32(書籍版は33ページ)

 市民救助者は、傷病者が心停止でなかった場合のCPRによる危害を恐れることなく、心停止を疑った場合にはCPRを開始することを推奨する(強い推奨、非常に低いエビデンス)。

 とあります。強い推奨と言うのは、詳しい人が、これオススメだよ!と言っていると言うことです。是非その通りにしましょう。

久しぶりの日本合コン医学会ガイドラインより。


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胸骨圧迫が心室細動を誘発するのか? [CPRの基礎]

 胸骨圧迫をすると心室細動になるのではないか?と言う人がいます。よく勉強されている方だなあと思いますが、結論から言えば、気にしなくて良いです。と言うか、気にするべきではありません。胸骨圧迫は、心肺停止が疑われる患者さんに対して、直ちに適切に行ってください。そうでないと、その患者さんは死んでしまいます。

 上手に行っても、胸骨圧迫では正常な心拍出量の3割程度しか生み出せないのですから。

 以前記事を書いた気がするのですが、見つからなかったので、調べてみました。

 電気ショック後の胸骨圧迫により心室細動が再発するのではないか?と言う事について調べた研究が二つあるようです。AHAのガイドライン2015にありました。書籍版だとS449にあります。

 There is evidence that resumption of chest compressions immediately after a shock can induce recurrent VF, but the benefit of CPR in providing myocardial blood flow is thought to outweigh the benefit of immediate defibrillation for the VF.(文献1、何と無料で全文が読めます!) Another study of patients presenting in VF after a witnessed arrest concluded that recurrence of VF within 30 seconds of a shock was not affected by the timing of resumption of chest compressions.(文献2。こちらも無料!) Thus, the effect of chest compressions on recurrent VF is not clear.
 ショック後直ちに胸骨圧迫を再開すると心室細動が再発するというエビデンスがあるが、胸骨圧迫により心筋血流を与えることの方が、直ちに電気ショックを行うことよりも重要である。もうひとつの研究では、目撃のある心停止で、来院時心室細動だった患者を検討し、ショック後30秒以内の心室細動の再発にと胸骨圧迫再開のタイミングには関連がなかった事が示されている。よって、胸骨圧迫により心室細動が再発するかどうかは不明である。

 よって、胸骨圧迫をすると心室細動になるのではないか?と気にして圧迫をしないことは良くないことだと言えるでしょう。

 つべこべ言わず、胸を押すことにいたしましょう!

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低体温患者さんには心肺蘇生を控えるべきなのか? [CPRの基礎]

 低体温の患者さんは夏でも発生します。低体温の患者さんの心臓は易刺激性(刺激に対して敏感になっている)なので、ちょっとした刺激で不整脈を起こす可能性があるため、色々しない方が良いという意見もあります。しかし、何もしなければ死んでしまいますので、悩むところです。

 しかし、多くの介入は迷わずやって良いです。例えば、低体温の患者さんは脈が触れるかどうか非常に分かりにくいです。よって、心停止の診断は非常に難しいです。さらに、心臓が止まっていないのに胸骨圧迫をしたら心室細動になるのではないか?と言う心配は何故か多くの人が持っているようです。

 最初に言っておきましょう。低体温であろうとなかろうと、一次救命処置の対応は同じです。確実に脈が触れると分かった場合以外は、直ちに胸骨圧迫を開始しましょう。

 低体温の人は、まれに長時間心停止していても社会復帰することがありますので、そう言う人を見かけたら、あきらめないで蘇生を続けましょう。

 ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2015の154ページには以下のようにあります。

 Neurologically intact survival has been reported after hypothermic cardiac arrest with a core temperature as low as 13.7℃ and CPR for as long as six and a half hours.
 深部体温が13.7℃まで低下した傷病者や、6時間半の心肺蘇生後の神経学的に問題のない生存例が報告されている。

根拠を以下に示します。


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熱中症になったら手や足を冷やしてみませんか? [CPRの基礎]

 そろそろ熱中症の季節ですね。熱いところで作業をする場合には、水分補給をしっかりし、頑張りすぎないでこまめに休みましょう。熱中症で亡くなる人もいますから。

 さて、今回は熱中症になった時に体温を下げる簡単な方法として、手や足の裏、頬などを冷やしてみませんか?と言うお話です。英語が得意な方は、こちらの文献をお読みください。私の文章など読む必要はありません!

 英語が苦手な方は、私の解説を。紹介した論文は、ハーバード大学の優秀な学生さんから体力のある人を集め、軍隊用の上着(たぶん寒いところで着る物)を着て、40度の部屋の中で運動をしてもらい、人為的に熱中症(体温が39.2度になるまで)にした上で体温を下げる方法を比較しています。こんなことして良いんだろうか?とも思いますが、世界最高の大学の学生さんですから、頭も身体も最高なのでしょう。

 さて、以下のグラフをご覧ください。

低体温.jpeg

 何もしないともちろん体温は下がりませんが、ここを冷やすべきと今まで言われていた首や脇の下、足の付け根(大きな血管が通っているから身体が冷えやすいと言われています)を冷やすより、手のひらや足の裏、頬を冷やした方が効果があります。

 論文に書かれていますが、これらの場所は毛細血管が豊富なので意外に熱を奪うのだそうです。確かに手のひらや足の裏に汗を掻きますから、有用なのかも知れませんね。

 ただし、当てる冷たいものは13度ぐらいがいいようです。冷たすぎると血管が収縮してしまい、上手く血液が冷たくなりません。

 ちなみにですが、その他に出来る事は、霧吹きで常温の水を患者さんの皮膚に振りかけ、扇風機やうちわで乾かすことです。一番良い方法はこれだと言われています。病院でもこれを行っています。何て原始的な!

 重症な患者さんでは、もちろん器械を使ったりして熱を下げます。そうならないように予防が最も大切です。頑張りすぎないで、しっかり休憩を取りましょう!!

 救急車が必要になったら、いつでも救急車を呼んでくださいね!!

 こちらの動画は、救急車の呼び方が学べる動画です、、、、、、、、、たぶん。


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心肺蘇生の開始は疑ったら開始です!ちゅうちょなく胸を押しましょう! [CPRの基礎]

 相撲のニュースでまた話題になっている心肺蘇生ですが、気になった意見があったので、救急科専門医として述べさせてください。

 心肺停止の診断は難しいです。
 心肺停止ではないか?と思ったら、ちゅうちょなく心肺蘇生を開始してください。
 あなたの対応がもし間違っていたとしても、それによる不利益は、患者さんが受ける利益によって抹消されます。

 相撲のニュースで、女性が土俵に上がったらダメとか、そういうことはここでは述べません。

 あれは心肺停止じゃないから、胸骨圧迫をしちゃダメなんじゃないかとか、心肺停止じゃなかったら胸骨圧迫をしちゃダメだと言う意見がSNSで散見されました。それに対する反論です。

 もう一度言います。

 心肺停止ではないか?と疑ったら、胸を押してください。
 胸を押さない方が罪です。

 以下理由を述べます。

 教科書的には、心肺蘇生は以下のような手順を踏みます。

 倒れている人を見つけた。
 まず現場の安全を確認(安全でなかったら近づいてはなりません)する。
 患者さんに呼びかけたり、体を揺すったりして反応を見ます。
 反応がなければ、助けを呼び、119番通報をします。
 正常な呼吸をしているかどうかを見ます。
 正常な呼吸ではないと考えたら、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を開始します。
 救急隊が来るまで、あるいは、患者さんがやめてくれと言う(ことはめったにありません。専門である私でも26年間で1回しかありません)まで続ける。

 現場の安全はぜひ守ってください。不安があれば、助けに行かないでください。

 次に、患者さんが心肺停止になっているかを判断することですが、これは、医療従事者でも非常に難しいものです。例えば、正常な呼吸ではない患者さんを見てもらい、正常かどうかを判定してもらったら、正しく判定できた医療従事者は2割ぐらいしかいなかったと言うデータがあります。脈拍があるかどうかを見ることに至っては、正確な判断はもっともっと難しいです。よって、最近のガイドラインでは、脈拍を触れなくて良いことになっています。脈拍を触れた場合も、確実に脈が触れると思った場合以外は胸骨圧迫を開始します。

救急はオーバートリアージです。


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酸素マスクを使う場合、4リットル/分以上は酸素を流しましょう。 [CPRの基礎]

 こちらの記事の更新版です。

 この本に書いてあったので記事を書いています。


こういうことだったのか!! 酸素療法

こういうことだったのか!! 酸素療法

  • 作者: 小尾口 邦彦
  • 出版社/メーカー: 中外医学社
  • 発売日: 2017/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 この本に引用されているこちらの文献によれば、酸素を少ししか流さないと吸入二酸化炭素分圧PICO2が2程度になる場合があるそうです。通常の吸入二酸化炭素分圧は0です。空気中の二酸化炭素分圧はほぼゼロですので。

 これによって、血中の二酸化炭素分圧PaCO2が上昇するかどうかは不明ですが、以前の記事に引用したように、呼吸仕事量が増えるようですので、酸素マスクを使う場合には、酸素をできれば5リットル/分、最低でも4リットル/分以上流すようにしましょう。

 「酸素療法ガイドライン」という本にも以下のように書かれています。

・やむをえず酸素流量5L/分以下で使用する場合、患者のPaCO2が上昇する危険性に留意すること。
・PaCO2上昇の心配のない患者に使用する。



酸素療法ガイドライン

酸素療法ガイドライン

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本呼吸器学会
  • 発売日: 2006/07/01
  • メディア: 大型本



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胸骨圧迫の位置をどう決めるのがいいのか? [CPRの基礎]

 こちらの記事に質問を戴いたので再掲載です。

 胸骨の下半分を圧迫し、剣状突起は押さないと言うのは以前から言われている事実ではありますが、では実際にそれをどうやって行うのか?については良い方法がないようです。

 CoSTRと言う基礎となる資料の53ページには、以前と同じように、胸の中央を押すという風に書かれています。どうやってそれを見つけるのかについては記載がありません。
 訳す時間がなかったので、詳しく知りたい方は原文をご覧ください!

 次に、日本で一番有名なAHA(アメリカ心臓協会)のガイドラインです。

 Consistent with the 2010 Guidelines, it is reasonable to position hands for chest compressions on the lower half of the sternum in adults with cardiac arrest. (Class IIa, LOE C-LD)
 2010年ガイドラインと同様に、成人の心停止に対する胸骨圧迫時には、手を胸骨の下半分に置くことが合理的である。

 The rescuer should place the heel of one hand on the center (middle) of the victim’s chest (which is the lower half of the sternum) and the heel of the other hand on top of the first so that the hands are overlapped and parallel
 救助者は、片方の手の平の付け根を傷病者の胸の真ん中(正中)(胸骨の下半分)におき、もう一方の手を平行に重ねるべきである。

 と言うことで、実際にどうやって圧迫の位置を決めるかに関しては記載がありません。BLSプロバイダーマニュアルに書いてあると思いますが、現在手元にないのですみません。

 日本蘇生協議会のガイドライン2016のP.15にも記載があります。こちらは日本語ですから、是非原文をご覧ください。

ヨーロッパのガイドラインはどうなっているのでしょうか?


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頭部外傷患者さんや出血傾向のある人に経鼻エアウェイを入れてはいけないのか? [CPRの基礎]

 経鼻エアウェイという器具があります。柔らかいチューブで出来ていて、鼻から喉の奥(声帯よりも少し頭側)まで入れて、気道を確保します。鼻から入れるだけなので、簡単な気道確保法の一つとして、蘇生の講習会(ACLSやICLS等)では必ず使い方を習います。

 ちなみにトリビアみたいな物ですが、鼻中隔が左に寄っている人が多いそうで、鼻の穴の中は右側が広い人が多く、経鼻エアウェイはもちろん、経鼻胃管なども第一選択は右の鼻の穴です。経鼻エアウェイの先端は斜め切りになっています。鼻中隔を傷つけないようにと言う配慮だという噂ですが、よって基本的に右の穴から入れるように作られています(たぶん)。

 さて、本題です。蘇生の講習会などでは、頭部外傷(鎖骨以上の外傷と書かれている物もあります)や出血傾向のある人には禁忌だと教わります。

 じゃあ、そう言う患者さんが来たらどないすんねん!と思います。結論から言えば、そう言う患者さんでも使って良いです。ただ、禁忌と書かれていることを行う場合、カルテに理由を記載するのはもちろんですが、患者さんやご家族にきちんと説明するべきです。医師は禁忌となっている治療を行ってはならないという法律はありません。どうしてもこれが必要だという想いがあれば、禁忌であっても使うべきです。

 が、個人的には経鼻エアウェイはそこまでして使う器具ではないので、頭部外傷患者さんや出血傾向のある人に使う事はないと思います。

どうしても使いたい場合は使いましょう。


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心筋梗塞の患者さんに酸素を投与すべきか? [CPRの基礎]

 酸素投与は色々と難しいです。救急隊の方と病院側で結構もめるポイントのようです。今回は救急現場における、急性心筋梗塞患者さんに対する酸素投与について考えてみましょう。

 まず結論からです。

 急性心筋梗塞だけでなく、酸素投与をした方がいいかな?と思ったら、迷わず酸素を投与しましょう。

 もし誰かに酸素をどうしてやってるんだ!と怒られて困ったら、私が応援に伺いますので呼んでください。私顔は怖いと言われていますから、相手は黙るかも知れません(^^)。

 酸素投与をすべき理由はただ一つ。低酸素より怖い物はないからです。出血の方が怖いじゃないか!と言う意見があると思います。そうですね。出血も怖いです!!しかし、出血は血液が足りなくなることで末梢組織の酸素が足らなくなる病態です。つまりは、低酸素と同じです。酸素がなければ人間は生きていけません。酸素が足りないことより恐ろしいことはありません。
 CO2ナルコーシスになるとか、スーパーオキサイドがどうとか、、、、、すべて命あっての話です。

 しかし、酸素投与をすると、冠動脈の血流が減ると言うことで、酸素投与はすべきでないという意見もあるようです。こちらの論文には、酸素投与をすると、冠血管抵抗が30%上昇し、冠血流が40%減るとありますが、18人の安定狭心症の患者さんでのデータです。急性心筋梗塞の患者さんではどうか分かりません。

 AHAの心肺蘇生のガイドライン2015に引用されているこちらの文献でも、酸素投与による弊害がたくさん載っています。が、検討した51の文献のうち、検討に値した物はたったの2つだったようです。
 そのうちの一つでは、酸素か空気を6リットル/分で24時間流して比較しています。もう一つの文献は4リットル/分です。何も考えず、SpO2等による酸素の減量もせず、酸素を4−6リットル/分で24時間長し続ける、、、、、、、そんなやつおらんやろ〜って思います。また、二つ目の文献は、酸素投与群の方がSpO2が低かったようで、重症例が多かったのかも知れません。

 よって、日本循環器学会のガイドラインでは、酸素投与について以下のように述べています。

クラス I
 ・肺うっ血や動脈血酸素飽和度低下(94%未満)を認める患者に対する投与(レベルB)
クラス IIa
 ・すべての患者に対する来院後6時間の投与(レベルC)

 日本循環器学会のガイドラインP.21の本文には「緊急治療開始から最初の6時間は全例で酸素投与が勧められる」とも書いています。そうなんです。酸素はやっていいんですよ。

 もう一度言います。

 酸素を投与した方がいいかな?と思ったら、酸素を投与しましょう。

 こちらのスライドがよくまとまっています(研修医の先生が作られたようです。素晴らしい!)のでご覧ください。私の記事を読むより、このスライドを読む方が良いかもです(最初に言えよな!って突っ込んでみてください(^^))。


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インピーダンス閾値装置(ITD)は動物にも有用ではありません。 [CPRの基礎]

 以前記事を書きましたので、そのアップデート版です。

 犬や猫の心肺蘇生のガイドラインというのもあるのですね。知りませんでしたが、こちらをご覧ください。それによれば、ITDは体重が10kg以下だと上手く動作しないようです。

「ITDは胸腔内圧を減少させて静脈還流量を増加させることで血行力学を改善しますが、現在のところ人の大規模臨床試験ではCPAにITDを使用してもROSCまたは生存退院率は改善されていません。さらに、この装置には少なくとも−12cmH2Oの “ クラッキング圧(バルブの入口側圧力が降下し、バルブが閉じ始めて、バルブ の漏れ量がある規定の量まで減少したときの圧力)” を生じる胸壁反跳が必要であり、体重10kg未満の小型犬や 猫では動物自身の弾性反跳単独ではそのような圧を発生できません。したがって、循環増強を目的にITDを利用できるのは体重が10kgより大きな動物です。」

 日本でも日本光電から発売されています。添付文書はこちらです。

ガイドラインではどう書かれているのでしょうか?


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