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2回目の電気ショックの前にアドレナリンを投与して良いのか? [CPRの基礎]

 アドレナリンは心肺停止の患者さんすべてに使用する薬剤です。社会復帰率を高めると言うエビデンスはないようですが、心拍再開率を高めると言うエビデンスがあるので使われています。つまり、救急外来に心肺停止で運ばれてきて、心拍が再開するので病棟へ入院出来るのですが、心臓が再度止まってしまったり、寝たきりになったりして、元気になる可能性は、アドレナリンを使わない場合と変わらないと言う事です。

 以下は、心肺蘇生の講習会でよくある光景です。

受講生A:(心電図を見て)VFです。電気ショックを行います。胸骨圧迫を再開してください。電気ショックのエネルギーは200Jから始めます。Bさん電気ショックをお願いします!
受講生B:それでは電気ショックを行います。充電をします!充電完了しました。ショックをかけますので皆さん離れてください!私よし、酸素よし、周囲よし、最終波形VFです!
(電気ショックをかける)
受講生A:質の高い心肺蘇生を再開してください。それではCさんルートを確保して、アドレナリン1mgを投与してください。
受講生C:はい、了解しました!ルートがとれましたので、アドレナリンを1mg投与します。
インストラクター:アドレナリンは投与ですか?準備ですか??
受講生A:あっ、すみません。投与ではなく準備でした。

 ガイドラインは、私の知る限りすべて、アドレナリンは電気ショックを一回して、それでもVFつまり心室細動が続いている場合に投与するとなっています。電気ショックを行って、それが効果があった(5秒以上VFが停止)かどうかは、電気ショック後2分以上たたないと分かりません。VFが継続していた場合、優先される事は電気ショックですので、もう一回電気ショックをしてからのアドレナリン投与になります。
 以前のヨーロッパのガイドラインにあったように、電気ショック後2分弱たったら、アドレナリンがいつでも投与できるように準備しておいて、VFが継続していたら直ちに投与すると言うような事をしていない限り、つまりは電気ショックを二回してからアドレナリン投与です。

 しかし、講習会では、上記のやり取りにあったように、電気ショックをまだ一回しかしていないのに、次のリズムチェックまでの二分間の間にアドレナリン投与の指示を出す人がいます。結構多いです。

 激しく不利益になるわけではないでしょうから、アドレナリンをすぐ投与すると言う指示を許容してみたり、「点滴がなかなかとれないです」と言ってみたりしていますが、最近はアドレナリンを早期に投与しない方がよいとされているようです。UpToDateに引用されていた以下の文献です。

 The early administration of epinephrine within two minutes following the initial defibrillation for VF/VT may be detrimental. In a prospective cohort study of 2978 patients with in-hospital cardiac arrest and a shockable rhythm (1510 patients with epinephrine administered within two minutes of defibrillation and 1468 propensity score matched patients without early epinephrine administration), patients who received early epinephrine had a significantly decreased likelihood of survival (OR 0.70, 95% CI 0.59-0.82)

日本語が読みたい方はこちらをごらんください。


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アドレナリンは一回だけの投与がいいのかもしれません [CPRの基礎]

 英語の得意な方は、こちらの論文こちらの論文を読んでいただけばいいです。

 現在アドレナリンは、心肺蘇生のガイドラインにおいて、3から5分毎に投与すると書かれています。しかし、ACLSプロバイダーマニュアルにも繰り返し記載されているように、アドレナリンを投与しても社会復帰率は高まりません。しかし、例えば、心拍再開率は高めますので、心拍が再開して病院に入院する率は高めます。突然心停止になって病院へ運ばれ、御家族が病院に呼ばれて、もう亡くなりましたと言われることは少なくなると言うことなので、全く意味がないとはいえませんが、やはり、元気に退院できる率を高めたいですね。しかし、それを高める薬は現在のところ存在しません。

 紹介させていただいた論文は、アドレナリンを3ー5分間隔ではなく、もっと長くすると生存率が高くなると言う結果を報告しています。ただ、その理由は不明であると書かれていますし、生存率を高めると言っても少しの割合です。直ちにこのような行動を取り入れるべきかどうかは不明です。UpToDateの「Supportive data for advanced cardiac life support in adults with sudden cardiac arrest(成人の突然の心停止における二次救命処置を支持するデータ)」と言う文献にも、今のガイドラインが変更されるまでは、今のガイドラインに示されている3から5分ごとのアドレナリンの投与を行うべきであると書かれていました。

 次のガイドラインは2020年に出るはずなので、次のガイドラインではアドレナリンの間隔が長くなるかもしれないと思っていると、興味が湧いて良いかもしれませんね。

 個人的には、アドレナリンは3分間隔ではなく、5分間隔で投与しようかなと思いました。現在は、心肺停止の患者さんが来られると、看護師さんが3分のタイマーをスタートして、タイマーが鳴ったらアドレナリンを投与しています。

 もしかしたら、心肺停止後に一度アドレナリンを投与し、追加投与はしないと言う方針もいいのかもしれません。何しろ薬剤を使わないアルゴリズムを作ることが検討されたと言う噂もあるぐらいですから。どちらにしても、大切なのは質の高い心肺蘇生と早期の電気ショックと言うことになりますね。


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アドレナリンは何故3ー5分ごとの投与なのか? [CPRの基礎]

 心肺停止の時に使う薬の中ですべての心肺停止に用いる薬はアドレナリンです。アドレナリンのことをエピネフリンと言う人もいますが、こちらに関しては以前記事を書きましたので、良かったらごらんください。

 多くのガイドラインにおいて、アドレナリンは、心肺停止中には3ー5分ごとに投与するとあり、その理由はアドレナリンの半減期が3ー5分だからと言う説明がされています。しかし、何となく分かったような分からないような気がしますよね。こちらの文献には、専門家の意見によって、アドレナリンは3ー5分ごとの投与となっていると書かれています。

 こちらのサイトをごらんいただくと、半減期と同じ間隔で薬を投与する(アドレナリンは投与したらすぐに最高血中濃度に達すると考えます)と、だいたい半減期の3ー5倍(9から25分の間)たつと初回投与後の最高血中濃度の二倍に落ち着きます。

 つまり、アドレナリンは初回投与後の最高血中濃度の二倍以上にしない方が良いと言う事なのでしょう。アドレナリンの大量投与(すれば当然最高血中濃度は上昇します)は有用性がないとして推奨されていませんので。

 記事稼ぎのために、明日またアップしますが、最近はもっと間隔を空けてアドレナリンを投与した方が良いと言う研究もちらほら出てきているようです。アドレナリンは3分ではなく、5分間隔で投与するようにした方が良いかもしれませんね。


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脈拍を触れることにこだわってはいけません [CPRの基礎]

 脈をとる行為は、医療ドラマなどでもよく出てきますので、患者さんの状態を把握するのに非常に有用なものです。しかし、皆さんも自分でやってみると良いですが、意外に難しいです。まず触れる場所が分かりませんから、触れる場所が間違っているので脈が触れないのか、触れる場所は正しいのに触れていないのかが分かりませんよね。我々医療従事者は、触れる場所を皆さんよりもよく知っていますが、それでもよく分からないことがあります。

 「脈拍が触れれば心臓が動いている」という検査を行うとして、もし脈が触れれば心臓が動いていると思います?実はそうでもないのです。昔書いたこちらの記事によれば、脈が触れた場合、93%の確率で心臓が動いているとのことです。逆に言えば、7%程度は心肺停止でも脈が触れる可能性があるということです。これは自分の指の拍動を患者さんの血管の拍動だと間違えてしまうのではないかと考えられます。また、脈がもし触れなかった場合には、43%の確率で心停止だと診断できます。詳細は最後に記載します。

 心肺停止の患者さんをそのまま放置すると、分単位、あるいは秒単位で悪くなってしまいます。そして、その悪さは死亡を招きますから、激しく重要度が高いです。よって、脈が触れなかったら胸骨圧迫を開始して頂くのは当然として、脈が触れたとしても7%の頻度で心肺停止なのですから、胸骨圧迫をやはり開始して頂きたいです。

 よって、脈拍を触れるという検査は、検査後の行動を変えるデータになりませんから、心肺停止の診断にはあまり役立たないと言えます。様々な蘇生のガイドラインでも、脈拍の触知にこだわってはいけないとあります。ヨーロッパ蘇生協議会のガイドラインには、エキスパート、つまり救急オタクのみが脈を触れるように推奨しています。

 また心臓が動いている人に心肺蘇生をしても大きな不利益はないとされていますので、心肺停止ではないか?脈が触れないのではないか?と思ったら心肺停止だと考えて対応してください。

さて蘇生の講習会での注意点です。医療従事者向けです。


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心拍再開はあえてROSCと言おう! [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会では、色々なシナリオが提示され、最終的には人形の頚動脈の脈が触れるようになります。受講生の方は「心拍再開しました!」とか「ROSC(ロスク)しました!」等と宣言し、シナリオが終了します。

 今日のお話は、心拍再開という言い方は変ではないか?と言う疑問についてのお話です。

 昨日の記事に書いたのですが、心拍は心電図などで心臓の拍動を見たものであり、脈が触れるかどうかは分かりません。例えば、心肺蘇生をしていて、PEAの状態(心電図に心室細動や心室頻拍、心静止以外の波形が出ているのですが、脈が触れない)になった場合、心臓の電気信号があるため、心拍はあると言えるのではないかと思いますが、心臓は動いていませんので、脈拍は触れません。しかし、これは心拍再開ではないかと思うのですが、何故か心拍再開したとは言いません。PEAでは心臓の電気信号があるけれど、心臓は動いていないからと言う理屈もあると思いますが、それでは心臓が動いているとどうやって判定すれば良いのでしょうか?

 もし、心拍が再開した場合には、脈が触れることが大切ならば、心拍再開ではなく、脈拍再開とでも言わなければならないのではないでしょうか?

 救急医学会の用語集では心拍再開とは「心肺停止状態から頸動脈あるいは上腕動脈の脈拍が触れるようになった場合」と定義されています。やはり、脈拍が大切です。

 英語ではROSCと言うのですが、return of spontaneous circulationの略です。直訳すれば「自発的な循環の再開」とでも言うのでしょうか。ROSCの確認は脈拍だけでなく、体動とか、自発呼吸とか、意識レベルとか、そう言った物で総合的に判断しますので、circulationと言っているのでしょうか。それならば、heart beatではなく、circulationと言っているところを日本語に上手く訳せたら良かったのでしょうね。

 そういう訳で、日本合コン医学会では、自己心拍再開のことを、ROSC(ロスク)と呼ぶことを推奨します。みんなで心拍が戻って落ち着いて良かったね!とラスクを食べられるようなイメージですね。

 群馬にはガトーフェスタ・ハラダと言う有名なラスクの会社があります。東京や大阪などのデパ地下では行列が出来るようですが、高崎駅のお店ではすぐ買えます。群馬に来られた際には是非お立ち寄りください。


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頻脈か?頻拍か?それが問題だ [CPRの基礎]

 心臓の拍動が乱れる(正常とは規則性や早さが違う)病気を不整脈と呼びます。不整脈には心拍数が早いものと遅いもの(正常な物もありますが)があり、英語では早い方を「tachycardia」、遅い方を「bradycardia」と呼びます。前者を「タヒってる」あるいは「タキってる」、後者を「ブラディがある」等と言うのはその為です。今思ったのですが、「ブラディってる」ってどうして言わないのかなあ?

 日本語では、tachycardiaを「頻拍」、bradycardiaを「徐脈」と言っている事が多いです。えっ?「頻脈」とか「徐拍」って書いてある本もあるよ!どうなってるの???と言うのが今日のお話です。

 いつもの通り、結論から言いましょう。

・tachydardia、つまり心拍数が早い状態は「頻拍」
・bradycardia、つまり心拍数が遅い、あるいは脈拍数が遅い状態は「徐脈」

 と呼びましょう。あるいは、英語ではその区別がないので、英語で言いましょう。後者に心拍数と脈拍数を記載した意味はすぐ解説します。

 解説です。

 まず、心拍数と脈拍数の違いです。前者はheart rate、後者はpulse rateで、通常両者は同じ数です。心臓が拍動すれば、脈が触れるからです。しかし、心臓が拍動しても充分な血液を送り出せず、脈が触れないことがあります。よって、心拍数≧脈拍数の関係があります。たぶんですが、心拍数<脈拍数となることはありません。

 簡単に言えば、心電図や心エコーなどで拍動を数えた場合、それは心拍数なので、頻拍、徐拍と言います。心電図ではなく、手で触れて、あるいはパルスオキシメーターなどで拍動を数えた場合、脈拍数ですから、頻脈、徐脈と言います。

洞性頻拍なの?洞性頻脈なの???


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人命救助の現場は見世物ではありません。 [CPRの基礎]

 ある中学校の蘇生の教育でこんなことがあったようです。リンクはこちらですが、いつまでこのリンクが生きているか分かりませんので、簡単に。

 心肺蘇生のやり方を生徒同士色々な立場を演じて勉強します。第一救助者、第二救助者とかは普通ですよね。なんと、野次馬役の人も作ったんだそうです。野次馬の人は全く手伝わず、蘇生の状況をスマホで撮影するんだそうです。撮影される側を体験した生徒さんたちは恐怖を覚え、自分はそんな野次馬のようなことは絶対にしない!と誓ったようです。
 素晴らしい教育ですね!この生徒さんたちは、この事をきっと一生忘れないでしょう。

 記事の元となった方のツイートもリンクしておきます。

 さて、心肺蘇生の現場で野次馬がどんな影響を及ぼすのか?と言う事について書かれたある資料をお読みください。かなり長文ですが、是非頑張って読んでください。日本語ですが、医学論文ですので、難解な用語が出てくるかも知れませんが、分からないところは無視して大丈夫です。

忙しい方はこちら。


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挿管前の圧迫と換気は非同期ではいけないのか? [CPRの基礎]

 心肺停止状態の人には心肺蘇生を行います。心肺蘇生の手技で大切な物の一つは、胸骨圧迫と人工呼吸です。どちらも大切なのですが、その割合も大切であり、現在は胸骨圧迫を30回(圧迫は100から120/分の速度)行った後に、人工呼吸を二回(1回1秒かけて、10秒以内に行う)するようになっています。これを「圧迫と換気は30:2で同期して行う」と言います。しかし、気管挿管など高度な気道確保をした後は、胸骨圧迫の中断は出来るだけ避けるべきと言うことから、胸骨圧迫は100から120/分の速度で連続して行い、換気は6秒に一回行うことになっています。これを「圧迫と換気は非同期で行う」と言います。

 高度な気道確保がされていない間は、胸骨圧迫を連続でしていると、胸を圧迫している時には肺にガスを送るのは難しく、上手く換気が出来ないから、圧迫を中断して人工呼吸を行うことになっています。つまり同期して蘇生を行います。

 しかし、俺は気道管理のプロだから、挿管されていなくたってちゃんと肺に換気を入れられるよ!と言う人がいたら、30:2で同期して圧迫と換気をしなくても良いのでしょうか?

非同期で良いんです!


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心肺蘇生のガイドラインからアドレナリンが消える? [CPRの基礎]

 最近心肺蘇生に関して大きな話題となっている論文があります。アドレナリンを院外心肺停止に使うと神経学的予後が不良(寝たきりとか何か障害の残る可能性が高くなる)となるという論文です。原文はこちらをご覧いただくとして、この論文を取り上げて、心肺蘇生にはアドレナリンを使うべきではないのではないか?と言う意見が散見されます。

 先に結論を言いましょう。新しいガイドラインが出るか、それまでに新しい声明が出るまでは、今まで通りアドレナリンを使いましょう。

 理由を述べます。例えば、ACLSプロバイダーマニュアル(英語版しか今手元にないのですみません)P.99には「アドレナリンなどの血管収縮薬が、心室細動や無脈性心室頻拍の生存率を改善するという証拠はないが、これらの薬剤は大動脈拡張気圧を上げたり、冠動脈還流圧を上げたり、心拍再開率を高めるため、アメリカ心臓協会はこれらの薬剤の使用を引き続き推奨する。」と書かれています。つまり、もともと「アドレナリンを使っても社会復帰率を高めることはない」と分かっていたのです。

 しかし、色々な人に聞いたところ、今回はこの研究が前向き研究だという所がポイントのようです。昨日の記事で、前向き研究について書いたのはその為です。今まで噂で「アドレナリン使っても社会復帰率が高くならないんじゃね?知らんけど、、、、、、、」という感じだったのが、「アドレナリンを使っても社会復帰率が高くなることはないため、アドレナリンの投与は控えるべきかも知れない。」と言うような感じになったと言うことです。

 ならば、我々はアドレナリンを使うべきではないと言えるのでしょうか?UpToDateはこの件に関して早々と意見を述べています。UpToDateについては明日記事を書く予定です。以下はメールで届いた文章です。

 Advanced cardiac life support (ACLS) guidelines for resuscitation of patients with cardiac arrest are largely based on observational data and expert consensus. For patients with ventricular tachycardia or ventricular fibrillation that persists following attempts at defibrillation, epinephrine is the initial drug recommended during ACLS, although several observational studies have raised questions about its benefits. In a randomized trial comparing epinephrine with placebo for patients with out-of-hospital cardiac arrest, the primary outcome (30-day survival) was higher in the group that received epinephrine (3.2 versus 2.4 percent), but there was no difference in survival with favorable neurologic outcome [1]. Subgroup analysis showed the survival benefit was limited to patients with a nonshockable initial rhythm. UpToDate continues to recommend following the current ACLS protocol for cardiac arrest, while awaiting additional evidence that may direct the use of epinephrine to specific subgroups that are more likely to benefit.

See 'Supportive data for advanced cardiac life support in adults with sudden cardiac arrest', section on 'VF or VT arrest and vasopressors'.

1. Perkins GD, Ji C, Deakin CD, et al. A Randomized Trial of Epinephrine in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. N Engl J Med 2018.

日本語がいい方はこちらを。


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心静止か心室細動か迷ったら [CPRの基礎]

 こちらの記事のアップデートです。

 結論から言いましょう。心静止か心室細動か迷ったら、心静止と考えて直ちに胸骨圧迫をしましょう。心室細動かもしれないと考えて、昔で言うところのフラットラインプロトコールを直ちにすることも推奨しません。直ちに胸骨圧迫再開です。

 以下は解説と言うか私の考えです。急いでいる人は読む必要ありません。

 日本蘇生協議会のガイドライン2015年度版のP.75には以下のように書かれています。

 「成人の院内心停止患者についてAEDとマニュアル除細動器とを比較した後ろ向き調査では、両者の間 に生存退院率の差はなかった。初期調律が心静止やPEAであった場合は、AEDを装着された患者のほうが マニュアル除細動器を装着された患者よりも生存率が有意に低かった(15% vs 23%, p =0.04)。」

 ある救急救命士さんに相談されました。初期波形が心静止だったと思った(心停止から長時間経過しており、誰も心肺蘇生をしていなかった)ため、解析ボタンを押さなかったそうです。救急隊の方が使うAEDは一般の人が使うAEDとは少し異なり、心電図の波形が表示されます。その波形が心室細動っぽくなかったので、心電図の解析ボタンを押さずに、心静止として直ちに心肺蘇生を行ったのだそうです。
 あとで細かい心室細動ではないのか?とフィードバックされたため、自分のせいで患者さんを死なせてしまったのではないかと夜も眠れないのだそうです。私は正しい行動だったと思います。心室細動ではなかった場合、解析ボタンを押すことで生存率を下げるからです。23%を15%に下げると言うのは約18回(100÷(23ー15))それを行うと1回だけそれを行ったために患者さんが死亡すると言う割合(分かりにくいですがそういう物で、その値NNTが二ケタなら医学的に意味があるとされています)です。結構な高い割合です。心静止の可能性が高かったわけですから、行うべきではありません。
 また心室細動は助かる心停止だと言われますが、それでも社会復帰率は25%程度であり、4人に3人は死亡してしまいます。反省はすべきでしょうが、気にせず救急の現場で活躍をしていただきたいと思います。

次に心室細動だった場合は??


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